間違いだらけの改正版市民権取得テスト
明けましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
皆様はお正月をいかが過ごされましたでしょうか?
2007年が皆様にとって素晴らしい年となりますよう、お祈り申し上げます。
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昨日お昼休みに、近所で働いている日本人の友人が、「ボスがちょうどオフィスにいない」と言うので、新年の挨拶も兼ねて彼女の仕事場に立ち寄った。友人との会話の話題の一つに上ったのが、米国市民権の取得についてだった。彼女も私も、米国の永住権を持っているが、市民権は持っておらず、近いうちに市民権を取得するつもりでいる。
私は、米国に住んでいる以上、この国の市民権を取得して選挙投票権を得、その権利を行使することによって、米国の政治プロセスに参加しなければならない、と以前から思っていた。とはいうものの、市民権申請をずっと後延ばしにしてきた。
というのも、欧米諸国と違い、日本は、他国の市民権を取得した者の日本国籍放棄を制度化しているからである。つまり、米国の市民権を取得すれば、日本国籍を放棄しなければならない。日本国籍を捨てると、日本に長期間滞在しなければならない状況が緊急に発生した場合(例えば日本にいる家族や友人にもしものことがあった場合)などに、不都合なことが色々生じてしまうのだ。そんな日本の国籍制度に批判的な有識者は大勢おり、制度の改正を求めるムーブメントもあることから、近い将来、米国市民権を取得しても日本国籍を維持できるようになるかもしれない。その時まで米国市民権の申請を待とう、と何の気なしに思っていたのである。
しかし、日本の国籍制度改正は近いうちに実現しそうも無いし、米国における参政権を一日も早く得るべきだ、という気がし始めたので、昨日友人に、「よし、市民権取得テストの勉強、お互い頑張ろう。」と言って彼女のオフィスを出た。
何だか前置きが長くなってしまって恐縮だが、本題はこれからなのである。
2008年度から米国市民権取得テストが改正されるというニュースを聞いていたので、昨夜早速インターネット上で調べてみた。すると、ノースウェスターン大学法律学校のスティーブン・ルベット教授が改正版テストについて書いた記事("The Citizenship Test: New, Improved, and Wrong," Steven Lubet, January 3, 2007, Salon.com)に行き当たった。
同記事によると、米国市民権移民業務局(以下「移民業務局」)は、市民権取得テストを改正するに当たって、「民主主義の概念及び市民の権利と義務に焦点を置いた」という。しかし、ルベット教授によれば、改正版テストの問題は言葉が曖昧なものが多く、また、問題に対して移民業務局が承認する回答は、実に間違いだらけである。同教授は、合衆国憲法を忠実に勉強している者は、このテストに合格しないだろう、と述べている。改正された市民権取得テストに合格するには、受験者は、移民業務局のウェブサイトでテストの傾向と対策を知り、下記の間違ったコンセプトを暗記する必要がある。(以下、ルベット教授の記事から抜粋。)
- Supreme law of the land(米国の最高法)は、合衆国憲法である。
実際は、合衆国憲法第6条が定めているところによれば、米国の「最高法」は、合衆国憲法、連邦法、そして(外国との)条約である。もちろん合衆国憲法が、米国の「最高法」の中で最大の権威を持った法であることは確かだ。しかし問題は、米国の「最高法の中で最も権威のある法は何か」ではなく、単に「最高法は何か」なので、合衆国憲法の言葉通り、連邦法や条約も答えにしてよいはずである。しかし、そう答えた受験者は、点をもらえないことになる。
- 「Freedom of religion(宗教の自由)」とは、自分の選んだ宗教(の教え、戒律)を自由に実行する、または、宗教を全く実行しないことである。
- 大統領は、米国で生まれなければならない。
- 連邦議会の議員は、自分の選出地区に住む市民を代表している。
- 陪審員としての務めを果たすこと、及び選挙において投票することは、市民の義務である。
- 米国市民のみが連邦政府関連職に就くことができる。
- 「Inalienable rights(譲渡不可能な権利)」とは、人々が持って生まれた権利である。
- 全ての個人に武器(銃)を持つ権利がある。
ということで、改正版市民権取得テストに備えて勉強しようとしていらっしゃる方は、自分の勉強している内容が間違っていることを認識する必要がある。ただ、この間違いだらけの改正版テストは、2008年の実施を前に、2007年中に10都市で試験実施が行われ、問題点があれば是正されるらしい。2008年の実施前に、改正版テストの改正が行われることを期待しよう。