ソーシャル・セキュリティ民営化キャンペーン始まる
ブッシュ氏の大統領就任式に、証券・投資業界の企業達が莫大な献金を行った裏には、明らかに、国のソーシャル・セ キュリティ(社会保障)口座の部分民営化 をなんとしても実現させてほしい彼らの思惑がある。 これに答えるかのように、ブッシュ氏及び共和党政治家達は、ソーシャル・セキュリティ口座の部分民営 化を掲げた国民向けキャンペーンを、一気にスタートさせた。 テレビニュースや政治番組が、この話題をこぞって扱い始めた。
ワシントン・ポスト紙に よると、ソーシャル・セキュリティを民営化する立法の必要性を国民に説く為に、5千万ドルから1億ドルが費やされるだろうとのこと。 出費先は、テレビ・ コマーシャル、テレマーケティング、新聞や雑誌のライター買収、などが考えらる。 ホワイトハウス及び共和党寄りのいくつかの政治団体が、既に数百万ドル 単位で資金調達を行っている模様。
多額のお金を費やしての一大キャンペーンだが、そのテー マは「所有権社会」。 ちなみに所有権社会と は、ブッシュ氏が昨年暮れ頃からよく使い始めた言葉で、「個人が自分の力により富を得、得た富を所有し、管理する。この過程で、国に一切頼らない」という 社会を差す。 これがブッシュ氏によれば理想的社会なのだそうで、ソーシャル・セキュリティ民営化は、この理想社会への第一歩を意味するのだそうだ。
そ のテーマと平行して使われているキャンペーン戦術は、恐怖。 「人口の高齢化及び出生率低下の為、ソーシャル・セキュリティ口座は危機に瀕している。 こ のまま国に任せていたのでは、直に破綻してしまう。 労働者達は引退後、年金の配当がもらえなくなる事態に陥るだろう。」と、国民を恐怖に落とし入れてお いて、「しかし解決策が一つある。 今のうちに、ソーシャル・セキュリティ口座を少なくとも部分的に民営化、つまり、国民一人一人がソーシャル・セキュリ ティ口座の一部を自由に投資できるようにすることだ。」と持っていくわけだ。 現段階では、国民の大半がソーシャル・セキュリティ民営化に反対している が、1億ドルのキャンペーンの後、世論はどう転ぶか。
経済学者達はみな口を揃えて、「ソー シャル・セキュリティ口座がこのままでは破綻す る、というのはただの脅し。 民営化こそが、ソーシャル・セキュリティ口座からお金を流出させる最大の原因となるであろう」と述べている。 民主党や労働 者組合、高齢者組合などの民営化反対派グループが、どうやってこの経済学者達のメッセージを国民に伝えるかが、また見物だ。