架空のジャーナリスト、ジェフ・ギャノン氏
ジェフ・ギャノン氏は、オンラインのニュース・サイト、「タロン・ニュース」のリポーターだった。彼は、新聞やテレビニュースのリポーターと同様に、毎朝開かれるホワイトハウスの記者会見に自由に出入りできるよう報道者パスを与えられていた。
さて、事の始まりは1月末に開かれたブッシュ大統領の記者会見。ギャノン氏も大統領に向けて質問を行ったのだが、その内容は的を得ていない稚拙なものであり、しかもその口調は大統領にごまを擂り、民主党議員を虚仮にしたものだった。政治関連のブログを運営するブロガー達は、ギャノン氏に対して不信感を抱き、一斉に彼の身元調査を行った。結果、次のことが判明した。
ジェフ・ギャノンというのは実は偽名で、本名はジェイムズ・ガカートである。ガカート氏は、ジャーナリストとしての資格を何も持っておらず、過去にエスコート・サービス(ページ中部から下部にガカート氏のエスコートサービスの広告がある。注意!ヌード写真あり)をしていた人物である。
更 には、ガカート氏がリポーターをしていたタロン・ニュースの運営者は、GOPUSA.com という共和党のサイトを運営している人物であることも発覚した。ガカート氏がホワイトハウスの報道者パスを与えられたのは2年ほど前、タロン・ニュースが まだ存在しなかった時で、その頃彼は GOPUSA.com のメンバーであったことも分かった。ちなみに報道者パスは、大統領の身辺を警護するシークレット・サービスによる厳しい身元調査を潜り抜けたジャーナリス トのみに与えられる。ジャーナリストの資格も無く、しかも偽名を使っている人物がシークレット・サービスのチェックを潜り抜けられるなど到底不可能だ。と いうことは、次のことが考えられる。
ホワイトハウスが GOPUSA.com の運営者と共謀して、ガカート氏をジャーナリストとして仕立て上げ、報道者パスを与えた。そして彼にニュース・サイトを与える為に GOPUSA.com 運営者がタロン・ニュースを立ち上げた。
とすれば、ガカート氏がタロン・ニュースを通じて報道するニュースの内容が、ブッシュ大統領及び共和党の提案する政策の宣伝のようなものばかりだったのが納得できる。
ホ ワイトハウスやCIAなどは、プロパガンダの一環として、ジャーナリストやリポーターを買収し、政府のとる特定の政策を好意的に報道させたり記事にさせた りして、世論を操作することが知られている。メディア操作による世論操作だ。最近も、ラジオのパーソナリティで政治評論家のアームストロング・ウィリアムス氏の件が 発覚したばかりだ。ウィリアム氏は、自分の番組内でブッシュ大統領の発案した教育改革法を毎日賞賛したのだが、それは実はブッシュ政権から金を受け取って いたからなのであった。しかし、今回のガカート氏のように、ジャーナリストではなく、どこの馬の骨とも知れぬ者(と言ったらガカート氏に失礼かもしれない が)を使って報道させていたケースは恐らく初めてだろう。
さて、ブロガー達による正体暴露によって、ガカート氏は報道者バスを返還し、タロン・ニュースも一時閉鎖状態に追い込まれた。それにしても、一般市民のブロガー達が、政府のプロパガンダと対抗するようになったという事実が興味深い。ところで、ガカート氏も依然ジェフ・ギャノンのまま、自分のブログを始めたようだ。