連邦最高裁:子供の死刑を廃止せよ
ヨー ロッパ諸国は、アメリカが未だに死刑を行っていることにとまどいを感じている。ヨーロッパでは、死刑は根本的人権尊重の理に反する野蛮な行為とみなされて いるからだ。だからEUの加盟条件にも、死刑制度を施行していないことが織り込まれている。EU加入を希望しているトルコは2年ほど前に死刑を廃止した。 EUは、アメリカへも死刑制度廃止を呼び掛けている。
アメリカが死刑を廃止するのは恐らくまだまだ先の話になるだろうが、この度18歳未満の犯罪者に対する死刑は止めることになった。
ア メリカでは、20州ほどで今も18歳未満の者に対する死刑が許可されている。子供を処刑しているのは、世界中で実にアメリカだけなのである。 (注:15 歳以下の児童の死刑はアメリカでも禁止されている。) 3日前、連邦最高裁は、18歳未満の者に対する死刑は、合衆国憲法改正条項第8条で禁止されている 「残酷で普通ではない刑罰」に相当するとして、「違憲である」と判決を下した。多数決の内訳としては、9人の裁判官のうち、5人が「違憲」で4人が「合 憲」という意見だった。
多数派を代表して判決を述べたケネディ裁判官は、 何が「残酷で普通ではない刑罰」とみなされるかという決断を下すにあたり、国際社会における法的傾向を考慮に入れたことを明らかにした。同裁判官は、子供 の処刑を禁止している国際社会において、アメリカが一人だけ孤立していることを強調。EU及びヨーロッパのノーベル平和賞受賞者から連邦最高裁に提出され た、子供の死刑に関する意見書を重視したと思われる。
これに対し、少数派を代表するスカリア裁判官は、アメリカ国内の法律が合憲かどうかを決めるのに、外国の法律に触れる必要性はない、と反撃。保守的なスカリア裁判官は、外国の法律的傾向及び道徳的傾向が連邦最高裁裁判官の下す判決に影響を及ぼすことを、殊の外嫌っていることで知られる。少数派の一人、オコナー裁判官は、 18歳未満の者に対する死刑が「残酷で普通ではない刑罰」というのには賛成できないものの、国際社会の法的傾向を考慮に入れて判決を出すことについては、 問題なし、との見解を示した。そんなオコナー裁判官にスカリア裁判官は言い放った。「我が国独自の原理を追及するのか、外国にただ追従していくのか、どち らかにしろ。」
連邦最高裁は、2年ほど前にも精神病を持つ者への死刑は違憲であると判決を下している。今回の判決と合わせて考えると、ア メリカにおける死刑の適用範囲が徐々に狭まれていっているようだ。時間はかかるだろうが、そのうち死刑自体も廃止されることになるだろう。それまでは、ア メリカに死刑制度廃止を促すヨーロッパ諸国と、外国の影響を押し止めようとするスカリア裁判官の戦いは続きそうだ。
Supreme Court Abolishes Juvenile Death Penalty
Reuters, Mar. 1, 2005