外国人抑留者の権利を大幅に縮減
ブッシュ政権下のアメリカは、国際法や国際協定をことごとく軽視しているが、今回また一つ国際協定から身を引くこととなった。ウィーン領事関連条約の選択議定書だ。
ウィー ン領事関連条約は、条約採択国が外国人を何かの容疑で逮捕、抑留した際に、その抑留者が自国の領事館に相談できるように取り計らわなければならない、と定 めている。外国人を抑留した国がこの条約を守らなかった場合の解決方法を取り決めているのが選択議定書だ。同議定書によれば、抑留者の母国がクレームを提 出し、国際正義裁判所に裁定してもらうことになっている。
この選択議定書から身を引いたということは、こういうことである:
アメリカが外国人を抑留し、領事館に連絡する機会を与えなくても、その抑留者の母国の政府は、アメリカに対して何の措置も取れない。
もちろん反対に、アメリカ人が外国で逮捕、抑留された場合、米政府は抑留した国に対して何の措置も取れない、ということでもある。つまりアメリカは、自国の司法手続きに他国の首を突っ込まさせない為に、他国で抑留される自国の人間も見捨てることにしたわけだ。
ア メリカがこのような決断に至った理由がある。実はつい先日、選択議定書にのっとって、メキシコがアメリカに正式にクレームを出した。アメリカで死刑判決を 受けて抑留されている51人のメキシコ人が、メキシコ領事館に連絡させてもらえなかったそうなのだ。これを受けてブッシュ政権は、各州の裁判所に、この 51人のメキシコ人のそれぞれのケースについて改めて聴聞手続きを行うように命じた。これでもうこりごりだったのだろう。それから一週間も経たないうち に、ブッシュ政権は選択議定書からの脱退声明を発表したのだ。
外国で逮捕、抑留された場合、その国の法律、言語などに対する理解不足で、 抑留者は不利な立場に陥る。抑留者が無実の罪で誤って逮捕された場合はなおさらだ。そんな抑留者を助ける役目を果たしていたのが抑留者の母国の領事館だ。 アメリカで逮捕された場合、もうその助けも期待できないということだ。
U.S. Strips Detainees of Key Protections
Reuters, Mar. 11, 2005