シュワルツェネガー知事の発言がまた非難の的に
シュワルツェネガー知事の発言が、また波紋を呼んでいる。彼は、ミニットマンを賞賛し、「カリフォルニアに来れば歓迎する。」と述べたのだ。
ミニットマンを少し説明しよう。
1ヶ 月前になるが、反外国人/反移民の右翼的な人々が集まって、「ミニットマン・プロジェクト」なるものを計画した。ミニットマンとは、もともとは、武器と戦 術の訓練を受け、市民革命で闘って功績を収めた一般人からなる武装集団のことを指す。(と思う。間違っていたらごめんなさい。)「ミニットマン・プロジェ クト」は、アメリカ南端の国境を守ろう、というプロジェクトだ。
祖国で貧困に窮しており、家族を食べさせる為、又はより良い人生を送る為 に、国境を渡ってアメリカにやって来るメキシコ人は後を絶たない。もちろんアメリカには不法滞在しているわけだが、彼らは生活がかかっているので、そんな ことは言っていられない。彼らは安い賃金で喜んで、農場や建築現場で働いたり、レストランで下働きをしたりする。だからアメリカの雇用主もどんどん彼らを 雇う。需要と供給が見合っているのだ。
右翼アメリカ人達は、このメキシコ人達の存在が気に入らない。「不法滞在している彼らが、国や州の 社会保障サービスをただで使用していることが許せない。」という。しかし実際は、調査で明らかになっているように、不法滞在しているメキシコ人のほとんど はちゃんと税金を国と州に払っている。また言うまでもないが、その労働と消費によって彼らはアメリカの経済に大きく貢献している。
が、そういった細かな事実には、右翼アメリカ人達は耳を貸さない。先ほども述べたが、彼らは元々「反外国人」であり、外国人全てを相手にすることが不可能な為、「不法滞在しているメキシコ人」にターゲットを絞っただけなのである。
彼らは、ミニットマン・プロジェクトの名の下、アリゾナ州のメキシコ沿いの国境に集まって、不法に国境を渡ってくるメキシコ人を捕まえることにした。インターネット上の呼びかけに、アメリカ中から右翼達が国境沿いに結集。(写真はこちら:
http://www.minutemanproject.com/photos/photos_2005apr30_wrapup.html )
ミニットマンというだけあって、みな銃を持参した。このプロジェクトは1ヶ月間行われた。
ミ ニットマンに対して、世論は厳しかった。国境沿いの市の市長は「外国人嫌いの者達のクレイジーなアイデア」と言った。普段は不法滞在者に対していい感情を 抱いていない一般人たちでさえも、「レッドネック(米国南部に住む無知で無学な白人。【軽蔑語】)が集まって、お遊びでメキシコ人狩りをしているよう だ。」と眉をひそめた。 外国人が苦手と評判のブッシュ大統領でさえも、「問題を大きくするだけだ。」と言った。
ブッシュ大統領の言うこ とが正しかったことはあまり無いが、ミニットマンに関しては、ぴたりと的中した。ミニットマン達は、国境沿いに張られたアラームを誤って鳴らし、国境パト ロールを出動させてしまったり、記念写真や記念ビデオを撮影する為にメキシコ人を拘束したりした。(他人を拘束するのはどんな状況でも違法。)「ミニット マンは私たちの仕事の邪魔をしている!」と国境パトロール隊達はかんかんだった。
そして4月末、ミニットマンは成功を宣言し、アリゾナ州におけるプロジェクトを終了した。前述の市長の反応はこうだ。「なにが成功だ。彼らはアリゾナに国際的な恥をかかせただけだ。」
さて批判にも負けず、ミニットマンは、「今度はカリフォルニア州におけるメキシコとの国境を守る為に、サンディエゴに向かう。」と宣言した。そんな時だ。シュワルツェネガー知事がミニットマンの功績を讃え、「彼らがカリフォルニアに来れば歓迎する。」と言ったのは。
このミニットマンの支持に対し、知事は強い非難を浴びた。
知 事は、少し前にも口をすべらせて波紋を呼んだ。ロサンゼルスのラテン系のラジオ・ステーションのビルボードに「ロサンゼルス、カリフォルニア」の代わりに 「ロサンゼルス、メキシコ」と書かれてあるのを見て、知事は機嫌を損ねた。そして、「アメリカの国境を閉鎖すべきだ。」と述べたのだ。慌てて「私は英語が うまくないからあのような発言になってしまった。」と言い訳したのだが、ラテン系の人々の知事に対する不信感を消すことは出来なかった。
ある政治評論家によれば、知事は、州内の超保守派・極右派に受けようとしてこのような発言を行ったのだろう、ということだが、移民の多いカリフォルニアでこのような発言を繰り返すのは、自殺行為としかいいようがない。知事の支持率は、既に40%まで落ちている。
ミニットマン支持発言の波紋が大きくなる一方、知事は言い訳に必死だ。「もちろん私は移民が増えることには大賛成だ。私自身、移民なのだから。私は移民政策のチャンピオンだ。ただ不法滞在などの不法な行為は許可できない、と私は言っているだけなのだ。」
ちなみに、オーストリアからアメリカに渡ってきた時、労働許可証を持っていなかったシュワルツェネガー氏は、不法就労した過去を持つ。
Polls Push Governor to the Border
Los Angeles Times, April 30, 2005