ドナ・フライ議員、敗れる!
昨日、アメリカ各地でローカルの選挙が行われた。カリフォルニアでは、数都市で市長選があったのと、州法案・市条例案を承認するか否かについての投票があった。
さてサンディエゴの市長選では、ドナ・フライ民主党市議会員が、共和党から出馬した元警察官、ジェリー・サンダース氏に敗れてしまった。サンディエゴは、軍事基地があり、軍事産業が盛んな土地柄ということもあり、リベラルで民主党派のカリフォルニア州にあっては珍しく、共和党派の街である。市長も代々共和党が歴任してきた。それに伴い政治腐敗が巣くっており、その為に今、市は様々な問題を抱えている。だから、今回は改革派のフライ議員が市長に選ばれるべきだった。ところが共和党依然強し、(といっても僅差ではあるが、)サンダース氏が選ばれてしまった。
問題は、投票者が立候補者の見解や政策方針をよく分かっていないということだ。先日、サンディエゴで小規模なビジネスを経営するアマンダという女性と立ち話をしたのだが、彼女はサンダース氏に投票するという。理由は、「フライ議員より、サンダースが市長としてよく見える」かららしい。(フライ議員はサーファーなので、確かに日焼けがひどいのであるが。)
アメリカでは今、地方政府による収用権の濫用が目立っている。収用権とは、公共使用目的のものを建築する為に、建築予定地域において私的に所有されている土地・住宅・ビジネスを、市が強制買収する権利だ。元来、この「公共使用目的のもの」とは、学校、病院、高速道路などを意味していた。しかし最近は、市が、大企業の拡張計画を実現させる為に、家又は小ビジネスの所有者から土地を安価で奪い、大企業に渡すのがトレンドとなっている。市は、「大企業の拡張は市に多額の税金をもたらし、市民の福祉につながる」と主張する。しかし、調査によれば、土地を一般人や小ビジネスから取り上げて大企業に譲渡した所で、市への全体的な納税額が増えることは、まずないそうである。しかも、土地をもらった後で、拡張計画を中止する大企業も多い。
大企業を代表するロビー団体に魂を売り、収用権を濫用しているのは、サンディエゴ市も例外ではない。サンディエゴで、個人ビジネス又は小規模のビジネスを経営している人たちは、いつ市に取り上げられるか心配しなくてはならない。そんな状況下で、市の収用権濫用を公然と批判し続けてきたのは、フライ議員ただ1人だった。「市が、私的所有物の拡大を援助する為に、他の私的所有物を取り上げるのは、正当な収用権行使ではありません。」と、彼女は叫び続けてきた。一市議会員としてできることは限られているが、彼女が市長になれば、収用権濫用を止めることも可能だったのだ。
私がこのことを指摘すると、アマンダはびっくりした様子で、「フライ議員がそのような立場にあるとは知らなかった。それなら、私はフライ議員に投票するわ。」と言う。そう、市の収用権濫用問題は、小ビジネスを経営するアマンダにとっては重要な問題なのだ。にも関わらず、フライ議員が収用権濫用を無くそうと奮闘している唯一の人物であることを彼女は全く知らず、「見かけ」でサンダース氏を選ぼうとしていた?
私はアメリカの市民権を持っていないので、選挙権がなく、偉そうなことは言えないが、選挙権のある方々には、候補者が何を言っているか、何をしようとしているか、誰を代表しているのか(大企業なのか、サンディエゴ市民なのか?)、どうかよく見極めてから投票していただきたい、と思う。
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サンディエゴのダウンタウンには、地元の住民・観光客共にとても人気のあるお洒落なカフェがあった。このカフェは、アフガニスタンからの移民の親子が、10年以上前にオープンし、苦労して、「ダウンタウンの人気スポット」に成長させたものだ。
ところが2年前のこと。大手ホテル、マリオットが、拡張計画を市に提出した。この拡張計画を承認することは、市が、このカフェと一帯の土地を取り上げ、マリオットに与えることを意味する。市議会は7対1でこの拡張計画を承認した。反対票を投じたたった1人の議員は、ドナ・フライ議員だ。
カフェを泣く泣く空け渡した経営者のアーマッドさんは、最近の地元の新聞のインタビューで、こう述べている。「気分的にはまだ落ちこんでいますが、前を向いて生きていくしか仕方ない。ドナ・フライ議員が市長になるのを楽しみにしています。」
一方マリオット・ホテルだが、拡張計画は宙に浮いたようで、カフェがあった辺りには、今だなんの進展も見られない。
そして、フライ議員は市長に選ばれず。
むなしいことだ。