汚職事件を追及したつけ
デューク・カニンガム元共和党連邦下院議員を汚職・収賄で起訴し、有罪判決に導いたキャロル・ラム連邦検事(カリフォルニア州サンディエゴ地区担当)が、ブッシュ政権から辞任するよう要求された。この一連の汚職・収賄事件には、CIAも絡んでおり、CIAのトップ3だった元高官に対する捜査はまだ続いている。
サンディエゴ・ユニオン・トリビューン紙によれば、ブッシュ政権がキャロル・ラム検事に辞めてもらいたい理由は、彼女が、暴力犯罪のケースよりも、政府の汚職やホワイト・カラー犯罪(企業や企業上層部の人々による犯罪)のケースの方に焦点を当てたからだという。
「(ラム検事に対する辞任要求が、)政治的なものであることは間違いない。」一連の汚職事件の捜査を担当したFBIエージェントで、FBIサンディエゴ事務所の責任者でもあるダン・ディツウィレウスキー捜査官は、サンディエゴ・ユニオン・トリビューン紙のインタビューに答えて述べた。
実は、ラム検事は、カニンガム議員の汚職疑惑について情報を得た当初、しばらくの間は、それに対して何の行動も起こさなかった。やはりこのケースを進めていくことによる報復を恐れ、とまどったのであろう。しかし、検事が行動を起こさなかったので業をにやした情報提供者が、メディアに情報を漏らし始めた。汚職疑惑が公に報道され始めた為に、検事は、このケースに取り掛からねばならない状況に陥ったようだ。
もしラム検事が辞任しない場合は、ブッシュ大統領は彼女を首にすることができる。1982年、同じくサンディエゴ地区を担当していたウィリアム・ケネディ連邦検事は、南カリフォルニアで自動車を盗んではメキシコで売却していた犯罪組織を突き止め、組織を運営していた者を起訴しようとした。ところが、CIAから邪魔をされた。実は、この犯罪組織運営者はCIAのエージェントだったのだ。起訴手続きをCIAに邪魔されていることを公表した直後、ケネディ検事は、レーガン政権に辞任を要求された。ケネディ検事が断った為、レーガン大統領は検事を首にした。
政府高官(特にCIA)を巻き込んだケースを担当する検事や弁護士は、常に報復を恐れなければならない。以前、このようなことを読んだことがある。やはり1980年代のこと、詐欺を働く目的で投資会社を設立した者が起訴された。被告は、CIAに依頼されてそのようなことをしたのだ、と自分を担当する公選弁護士に告白した。それが事実であることは、その者の詳細な供述で明らかだった。弁護士は、被告はCIAに頼まれてやっていたのだと裁判で述べた。結果、その弁護士は報復を受けた。弁護士は犯罪容疑者に仕立て上げられ、裁判に掛けられることとなったのである。結局同弁護士は無罪判決を受けたが、裁判に掛けられている間は仕事にも就けず、無収入で、その上相当な心痛を経験したという。
Lam Stays Silent about Losing Job, San Diego Union Tribune, January 13, 2007
Doing His Job Too Well, Time, April 12, 1982