民主党が戦争終結を主張できないわけ
ブッシュ大統領がエスカレーション計画を発表してから、民主党連邦上院議員達は、口々にその計画に反対していると述べているが、確固たる行動に移していない。
あまりに何もしないので、いらいらしたアメリカ中の憲法学者たちが、連邦議会に、合衆国憲法下では、連邦議会は戦争を制限する権限があるのですよ、と説明した書状を送ったくらいだ。
もちろん民主党上院議員達の中には、ちゃんとやっている人もいる。
連 邦議会の承認無しに、大統領が対イラク戦争における兵の数や軍事予算を増やすことを禁止する法案を作ったエドワード・ケネディ議員や、この法案を支持する と公言したクリス・ドッド議員(大統領党予備選立候補者)、戦争への資金を断ち切ることによって、6ヵ月後にはイラクからの全面撤退を実現させる法案を作っ たラス・ファインゴールド議員、2008年3月までにイラクから撤退する法案を作ったバラク・オバマ議員(大統領党予備選立候補者)など。
ところが、これらの法案はなかなか上院での採決に回されない。民主党が与党として実権を握っているというのに、だ。
そ れでは民主党上院議員達は一体何をしているか、といえば、実は、法的効力のない、「エスカレーション計画に反対する連邦議会の意思表示」をするための決議 案、なるものを時間をかけて作っていたのであった。共和党の上院議員達の中には、世論を恐れ、自分の政治生命を心配して、エスカレーション計画に反対する 議員も少なくない。そのような共和党議員達と民主党議員達は、決議案を共同草案していたのであった。
共和党議員達は、いくらエスカレーション 計画に反対しているといっても、共和党の大統領や戦争自体を強く批判するような言動は避けたかった。民主党議員達は、そんな彼らの納得がいくように妥協 し、決議案はとても柔らかな言葉で書かれた。しかも決議案は可決しても法的効力がないので、エスカレーション計画を止めるどころか、ブッシュ政権にとって は痛くも痒くもない。ファインゴールド議員やドッド議員などは、こんな弱腰では駄目だ、と怒ったくらいだった。
それでも今週月曜日、この決議案を採決しようとした時、共和党上院議員は一団となって議事妨害し、採決を未然に止めたのであった。この決議案を民主党議員達と共同草案した議員達でさえもだ。民主党議員達は、無様にも寝首をかかれた格好となった。
そ の夜、ファインゴールド議員は、ジャーナリストのインタビューに答えた。インタビューアーが、どんなに共和党に妥協した弱い決議案でも、共和党議員達は、 なんだかんだいって結局議事妨害するのだから、民主党議員達はなぜ、ファインゴールド議員が作ったような強い法案を採決に回そうとしないのか、特に、今世 論はイラクからの撤退を望んでいるというのに、と尋ねた。ファインゴールド議員は、いつものように率直に正直に答えた。彼によれば:
民主 党議員達が、正しいことができない、つまり、イラクからの撤退を実現させようとすることができないのは、前クリ ントン政権と密接な関わりを持つ強力なエリート・政治コンサルタント達のせいである。コンサルタント達とヒラリー・クリントン議員(大統領党予備選立候補者)は始めからこの戦争を支持していた。だから、「この戦争は間 違っている」とか、「早くイラクから撤退しなければならない」などという言葉を、彼らは嫌うのである。もちろん、世論においては戦争への批判が波打っている為、クリント ン議員もコンサルタント達も、その波に乗らなければ2008年の選挙で勝ち目はない、と承知している。しかし目下の所は、彼らのエゴが、民主党議員達を縛り付け、戦地に送られる他人の子供達を見殺しにさせているのである。