強力なイスラエル・ロビーに対抗する平和主義のユダヤ系ロビー団体誕生
アメリカの政治家達は、共和党であっても民主党であっても、イスラエルの政策を批判することはできない。イスラエルがどれ程パレスティナ人の人命や人権を陵辱しようが、レバノンを勝手に攻撃しようが、アメリカの政治家達は、ただただイスラエルのやっていることを「全面的に支持する」と繰り返すだけだ。
イスラエルを批判しようものなら、彼らの政治生命が絶たれてしまうからだ。それもこれも、リクード党と密接な関わりを持つロビー団体「アメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)」のせいである。同団体は、アメリカの政治家、メディア、そしてあらゆるセクターにおける有力者や著名人が、イスラエルの政策(厳密にはリクード党政策・右派政策)を支持するよう、少なくとも批判しないよう、莫大な資金と強大な影響力を行使して活動しているのである。
大統領選候補者の3人も、AIPACからロビーされ、または同団体の報復を恐れ、イスラエルの強硬政策を正当化する態度を示している。先日カーター元大統領が、イスラエル-パレスティナ間の平和構築のためにハマスのリーダーと会談したい、と発表した。ハマスは事実上パレスティナの与党なのだから、彼らを無視し続けていてはイスラエル-パレスティナ間の状況に何の進展も生まれない、と考える外交・中東情勢専門家は多く、カーター元大統領もその1人であった。(ちなみにカーター元大統領は、AIPACには全く恐れを感じていないらしく、イスラエルのパレスティナに対する政策を公に批判し続けている。)
マッケイン議員もクリントン議員も即座にカーター元大統領を非難した。「ハマスのようなテロリストと、アメリカは話をすべきではない。」と言うのだ。この2人の反応は、予想されたものだった。しかし、少し遅れてオバマ議員も同様の反応を示した時、私はがっかりした。と共に、イスラエル・ロビーの強さを改めて思い知らされた。従来の政治家達とはあらゆる面で違うオバマ議員も、イスラエル・ロビーには他の政治家達と同様、平伏してしまわなければならないのだった。大統領は変わっても、AIPACがいる限り、アメリカの歪んだ中東政策はいつまでも続くのだ、と認識した。
ところが今日、このようなニュースを目にした。なんと、AIPACに対抗する、平和主義のユダヤ系ロビー団体が誕生した、というのである。「J Street」というこの団体は、イスラエルとパレスティナの平和的共存と中東の平和構築をポリシーとして掲げ、このポリシーを支持するよう政治家達をロビーする。
もちろん今の段階では、J StreetはAIPACとは比べ物にならないほど小さなロビー団体であるが、早くAIPACを凌ぐほどの大きさになってもらいたいものである。想像してみていただきたい:アメリカの政治家がAIPACの報復を恐れずにイスラエル-パレスティナ問題について発言し、そして問題に取り組む。メディアはAIPACの報復を恐れずに中東情勢を報道する。大学教授はAIPACの報復を恐れずに中東情勢を教える。
そんな日が早く訪れてほしいものである。
J Streetを応援されたい方は、寄付することができる。