「同性結婚を禁じたネブラスカ州憲法の改正条項は、国の憲法に違反する。」連邦地域裁判所が判決を下した。ネブラスカは、2000年にこの改正条項を州憲法に組み入れたばかりだ。
現在までに、3つの州の州裁判所が、「同性結婚を禁止した婚姻法は、平等な法の保護(又は法の手続き)を州民全てに保障する州憲法の条項に違反している」と判決を下している。
しかし、連邦裁判所が、「同性結婚を禁止する州憲法は、平等な法の保護を国民全て保障する合衆国憲法の条項に違反する」と判決を下したのは初めてだ。
この連邦地裁の判決は、州憲法の名の下に、夫婦と同じ法的権利を同性カップルに与えていないことが違憲である、と言っているもので、同性結婚を認めよ、と命令しているものではない。
ネブラスカ州において、夫婦には付与され、同性カップルには付与されていない法的権利の例は次の通り:
- 仕事を休んで病気の配偶者の介護をする権利。(有給介護休暇)
- 重体の配偶者を病院に見舞う権利。
- 死亡した配偶者の葬式を行う権利。
- 配偶者を自分の医療保険の被保険者に指名する権利。
- 配偶者として、政治のプロセスに参加する権利。
- 両親としての権利。
ただ、カリフォルニア州、バーモント州、コネティカット州においては、婚姻は男女間のみに存在すると州法で定めているものの、同性カップルにも、シビル・ユニオン(Civil Union、2人の市民の共同生活体)やドメスティック・パートナー(Domestic Partner、家庭を築く為のパートナー)といった婚姻とよく似た制度を授けている。シビル・ユニオン(バーモント州・コネティカット州)又はドメスティック・パートナー(カリフォルニア州)の手続きを済ませた同性カップルは、夫婦に付与されている法的権利のほとんどを与えられる。夫婦と完全に同じ権利が与えられているわけではないので、こういった制度も、それはそれでまた問題があるのは事実だ。しかし、こういった制度が欠如しているよりはましなのであって、制度を導入しているこれらの州では、少なくとも、同性カップルにできるだけ夫婦と同じ法的保護を与えようとする姿勢が見られる。
一方、ネブラスカの州憲法改正条項は、同性カップルに対しては、婚姻どころか、シビル・ユニオンやドメスティック・パートナーのような制度も許可しない、と断言している。つまり同性カップルにとって、夫婦と同様の法的保護を受ける手段は皆無、ということだ。
今回の連邦地裁の判決は、国の憲法で保障されている平等に法的保護を受ける権利を、同性カップルであるという理由だけで彼らから奪うな、と命令しているものである。この命令に従うために、同性結婚を許可するか、それとも同性カップルの為にシビル・ユニオンやドメスティック・パートナーのような制度を設けようとするか.....それは、ネブラスカの立法機関の判断による。ただ、連邦地裁の判決に不服なネブラスカは、連邦控訴裁に上訴すると言っているので、この訴訟の最終結論はまだまだ先になりそうだ。
U.S. Judge Rejects Neb. Gay-Marriage Ban
Associated Press, May 13, 2005
シュワルツェネガー知事の発言が、また波紋を呼んでいる。彼は、ミニットマンを賞賛し、「カリフォルニアに来れば歓迎する。」と述べたのだ。
ミニットマンを少し説明しよう。
1ヶ 月前になるが、反外国人/反移民の右翼的な人々が集まって、「ミニットマン・プロジェクト」なるものを計画した。ミニットマンとは、もともとは、武器と戦 術の訓練を受け、市民革命で闘って功績を収めた一般人からなる武装集団のことを指す。(と思う。間違っていたらごめんなさい。)「ミニットマン・プロジェ クト」は、アメリカ南端の国境を守ろう、というプロジェクトだ。
祖国で貧困に窮しており、家族を食べさせる為、又はより良い人生を送る為 に、国境を渡ってアメリカにやって来るメキシコ人は後を絶たない。もちろんアメリカには不法滞在しているわけだが、彼らは生活がかかっているので、そんな ことは言っていられない。彼らは安い賃金で喜んで、農場や建築現場で働いたり、レストランで下働きをしたりする。だからアメリカの雇用主もどんどん彼らを 雇う。需要と供給が見合っているのだ。
右翼アメリカ人達は、このメキシコ人達の存在が気に入らない。「不法滞在している彼らが、国や州の 社会保障サービスをただで使用していることが許せない。」という。しかし実際は、調査で明らかになっているように、不法滞在しているメキシコ人のほとんど はちゃんと税金を国と州に払っている。また言うまでもないが、その労働と消費によって彼らはアメリカの経済に大きく貢献している。
が、そういった細かな事実には、右翼アメリカ人達は耳を貸さない。先ほども述べたが、彼らは元々「反外国人」であり、外国人全てを相手にすることが不可能な為、「不法滞在しているメキシコ人」にターゲットを絞っただけなのである。
彼らは、ミニットマン・プロジェクトの名の下、アリゾナ州のメキシコ沿いの国境に集まって、不法に国境を渡ってくるメキシコ人を捕まえることにした。インターネット上の呼びかけに、アメリカ中から右翼達が国境沿いに結集。(写真はこちら:
http://www.minutemanproject.com/photos/photos_2005apr30_wrapup.html )
ミニットマンというだけあって、みな銃を持参した。このプロジェクトは1ヶ月間行われた。
ミ ニットマンに対して、世論は厳しかった。国境沿いの市の市長は「外国人嫌いの者達のクレイジーなアイデア」と言った。普段は不法滞在者に対していい感情を 抱いていない一般人たちでさえも、「レッドネック(米国南部に住む無知で無学な白人。【軽蔑語】)が集まって、お遊びでメキシコ人狩りをしているよう だ。」と眉をひそめた。 外国人が苦手と評判のブッシュ大統領でさえも、「問題を大きくするだけだ。」と言った。
ブッシュ大統領の言うこ とが正しかったことはあまり無いが、ミニットマンに関しては、ぴたりと的中した。ミニットマン達は、国境沿いに張られたアラームを誤って鳴らし、国境パト ロールを出動させてしまったり、記念写真や記念ビデオを撮影する為にメキシコ人を拘束したりした。(他人を拘束するのはどんな状況でも違法。)「ミニット マンは私たちの仕事の邪魔をしている!」と国境パトロール隊達はかんかんだった。
そして4月末、ミニットマンは成功を宣言し、アリゾナ州におけるプロジェクトを終了した。前述の市長の反応はこうだ。「なにが成功だ。彼らはアリゾナに国際的な恥をかかせただけだ。」
さて批判にも負けず、ミニットマンは、「今度はカリフォルニア州におけるメキシコとの国境を守る為に、サンディエゴに向かう。」と宣言した。そんな時だ。シュワルツェネガー知事がミニットマンの功績を讃え、「彼らがカリフォルニアに来れば歓迎する。」と言ったのは。
このミニットマンの支持に対し、知事は強い非難を浴びた。
知 事は、少し前にも口をすべらせて波紋を呼んだ。ロサンゼルスのラテン系のラジオ・ステーションのビルボードに「ロサンゼルス、カリフォルニア」の代わりに 「ロサンゼルス、メキシコ」と書かれてあるのを見て、知事は機嫌を損ねた。そして、「アメリカの国境を閉鎖すべきだ。」と述べたのだ。慌てて「私は英語が うまくないからあのような発言になってしまった。」と言い訳したのだが、ラテン系の人々の知事に対する不信感を消すことは出来なかった。
ある政治評論家によれば、知事は、州内の超保守派・極右派に受けようとしてこのような発言を行ったのだろう、ということだが、移民の多いカリフォルニアでこのような発言を繰り返すのは、自殺行為としかいいようがない。知事の支持率は、既に40%まで落ちている。
ミニットマン支持発言の波紋が大きくなる一方、知事は言い訳に必死だ。「もちろん私は移民が増えることには大賛成だ。私自身、移民なのだから。私は移民政策のチャンピオンだ。ただ不法滞在などの不法な行為は許可できない、と私は言っているだけなのだ。」
ちなみに、オーストリアからアメリカに渡ってきた時、労働許可証を持っていなかったシュワルツェネガー氏は、不法就労した過去を持つ。
Polls Push Governor to the Border
Los Angeles Times, April 30, 2005