このケースの詳細については、こちらをご参照のこと。
今日、連邦控訴裁判所の15人の裁判官による判決が出され、先の3人の裁判官の判決を覆した。ネイティブ・ハワイアンを優先的に入学させるカメハメハ・スクールの入学方針は、「アメリカの原住民により良い教育を与える必要がある」とする連邦議会の意図と一致しており、公民権法違反ではない、として、原告側の訴えを退けたのである。
ハワイのニュースはアメリカ本土にはあまり詳しく入ってこないので、ネイティブ・ハワイアンの方々がこの判決にどう反応しているかということも、こちらではあまり分からないのだが、きっと喜んでいらっしゃることだろう。
ただ、当然のことながら、原告側は連邦最高裁判所に上告するつもりでいる。
Court Ruled for Hawaiians-First Admission Policy
Honolulu Advertiser, December 5, 2006
先週のこと。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の生徒であるイラン系アメリカ人のモスタファ君が、同大学の図書館にいた所、カリフォルニア大学警察に身分証明証を見せろと命令された。身分証明証を見つけられなかったモスタファ君は、図書館から去るように警察から命令された。モスタファ君が断ると、警察は彼に手錠をかけ、テーザー銃で何度も何度も傷付けた。
ちょうどその時図書館に居合わせた生徒が撮ったビデオはこちら。
このビデオの中で本人は、「(警察の)権限濫用だ!」「これが愛国者法なんだな!」と叫んでいる。全く、もしこれがイラン系アメリカ人ではなく、白人アメリカ人の生徒だったら、警察は、「身分証明証を見せろ」と要求したりするであろうか?また、身分証明証を出せなかっただけで、「図書館を出ろ」と命令したりするであろうか?そして、すぐに立ち去らないからといってテーザー銃を撃ったりするだろうか?テーザー銃は、過去に死亡者を何人も出すほど危険な武器であり、警察は普通、抵抗する現行犯に対して使うものだ。
弁護士よると、モスタファ君は、公民権を侵害されたとして大学警察を訴えるつもりだそうだ。
ただ、ほっとさせられるのが、ビデオから分かるように正義感の強い生徒達がいたということである。熱く警官に抗議する生徒もいれば、「あなたの警察章番号を教えてください。」と冷静に警官に挑戦している生徒もいる。また、翌日には、この警察の行動に抗議する生徒達の集会も開かれた。
スピーカーの生徒は、大学施設は学費を払っている生徒のものであり、大学事務局は生徒の権利を尊重した学校方針を採択しなくてはならない。それなのになぜ大学警察が過度の権限を持ってキャンパスで横暴に振舞う、という事態が起こっているのか?というような主旨のことを述べている。集会に集まった生徒達は、大学警察の行いに対する外部による調査、テーザー銃を使った警官の停職処分などを求めた。
来る1月、民主党は、共和党から立法機関(連邦議会)のコントロールを取り上げることとなる。
連邦議会内には、上・下院共に色々な委員会が設置されている。連邦議会でどのような法案について議論・採決を行うか、ど のような問題点について聴聞会を開くか/調査するか、を決めるのは各委員会である。今までは、与党である共和党の議員らが各委員会の委員長を務めてきた し、委員会のメンバーの数も、与党である共和党議員の方が多かったため、文字通り共和党が連邦議会で取り扱う議題をコントロールしてきたわけである。
しかし1月からは、与党となる民主党議員らが各委員会の委員長を務め、委員会のメンバーも、民主党議員が多数派を占めることとなる。民主党は既に委員会を牛耳る準備を着々と行っており、その準備内容を覗いてみると、まるで新しい時代の幕開けのようである。
それでは、1月からどのようなことが連邦議会から期待できるか、今の段階で分かっていることを紹介しよう:
連邦司法機関の超保守化が止まる
ブッシュ大統領は、今までに超保守派のロバーツ判事やアリト判事を連邦最高裁判所の裁判官に指名したのを始め、同様の超保守派の人物43人を連邦控訴裁判所の裁判官に指名した。共和党が多数派を占める上院司法委員会は、問題なく指名を承認し、上院に投票採決を回してきた。そして当然のことながら、共和党が多数派を占める上院の過半数が賛成投票を投じた。
実は、まだまだ連邦控訴裁判所の裁判官の椅子はいくつも空きがある。しかし、民主党が多数派を占める上院司法委員会は、ブッシュ大統領が指名する超保守派の人物の承認をブロックすると見られる。
新しい法案アジェンダ
今まで共和党が提出してきた保守派の法案アジェンダ(妊娠中絶をする権利の制限、銃を持つ権利の擁護、同性結婚反対、反政教分離、反移民主義など)は、民主党が牛耳る上院/下院司法委員会では取り扱われないと見られる。
上院司法委員会の委員長に就任予定のパトリック・レイヒ民主党上院議員が同委員会のメンバーとして選んだ民主党議員は、東海岸の州(ニューヨーク州、バーモント州、マサチューセッツ州など)、西海岸の州(カリフォルニア州)、そしてイリノイ州、ウィスコンシン州から選出された議員ばかりだ。つまり、民主党上院議員の中でも特にリベラルな人達ばかりである。南部や中部の保守派の州から選出された民主党議員の中には、どうしても自分の州民の保守的な考えを尊重しなければならないとプレッシャーを感じる議員もいる。そのような民主党議員達を入れず、リベラル色の強い州から選出された民主党議員のみで固めた上院司法委員会では、保守的色合いの強い法案アジェンダが日の目を見ることはないだろう。
下院司法委員会の委員長に就任する予定のジョン・コンヤーズ民主党下院議員は、既に委員会で取り上げたいアジェンダのリストを用意している。そのリストには、次のことが入っている。
- 連邦最高裁判所が、性別、身体障害、または年齢に基づく差別を受けた時に訴訟を起こす権利を制限する判決を出したが、新しい公民権法を作ることによってその判決を覆すこと。
- ドラッグ所持者に対する刑罰の重さの矛盾の是正。例えば、クラック(固形)コケイン所持者に対する刑罰は、粉末コケイン所持者に対する刑罰より100倍重い。クラックコケインの所持者のほとんどがアフリカ系アメリカ人、粉末コケイン所持者のほとんどが白人であることから、人種差別であると問題視されている。コンヤーズ議員は、これをもっと公平にしたい。
- 死刑制度の見直し。
「拷問法」の改正
上院司法委員会の次期委員長レイヒ議員および他の民主党議員は、先程施行されたばかりの軍事委員会法、いわゆる「拷問法」を改正する法案を既に作っている所だ。その改正法案は、少なくとも次のような特色を持つ。
- 「敵の戦闘員」として囚われた者も連邦裁判所に人身保護請願できる。
- 「不法な敵の戦闘員」の定義の範囲を狭める。
- 軍事委員会にて、脅迫や強制による供述を証拠として提示することを禁止する。
- 大統領が一方的にジュネーブ第三条約を解釈する権限を制限し、行政機関が第三条約を守っているか否かについて立法機関(連邦議会)及び司法機関(連邦裁判所)がチェックする。つまり捕虜に対する拷問をさせないようにする狙いだ。
- 軍事委員会法の各条項の合憲性を見るため、司法機関(連邦裁判所)による審理を急がせる。
地球温暖化問題がやっと議題に
共和党は、概して地球温暖化現象を真剣に受け止めてはないが、上院の環境委員会の委員長を務めてきたジェイムズ・インホフ共和党上院議員は特に、「地球温暖化現象などというのは、嘘だ。神が我々を守ってくださるから大丈夫だ。」と言い切るなど、他国の人々からすれば常識と理解を超えた恐るべき人物であった。もちろん、環境委員会の委員長がこうであるから、地球温暖化対策について連邦議会が話し合うなどということはかつて無かった。
1月からは、バーバラ・ボクサー民主党上 院議員が環境委員会の委員長となる。ボクサー議員は、環境問題に比較的関心の高いカリフォルニア州の選出であり、彼女自身環境保護に熱心である。ボクサー議員が委員長に就任して始めにすることは、地球温暖化問題について聴聞会を開くことだそうだ。そう、やっと地球温暖化問題が連邦議会で話し合われることになりそうである!ボクサー議員は、共和党議員たちから既に、「環境委員会の委員長にしては、極端すぎる。」「現実離れしている。」などと非難を浴びている。(極端で現実離れしているのはどちらだ?恐るべし共和党議員達。)
その他
各委員会の委員長となる民主党議員は、委員長に就任次第以下のことをしたいと述べている、またはすると予想される:
上院情報委員会、ジェイ・ロックフェラー民主党上院議員: ブッシュ政権がイラク戦争を始めた理由について調査。
上院軍事委員会、カール・レビン民主党上院議員: 米軍をイラクから徐々に撤退させることをブッシュ政権に要求。
上院調査副委員会、カール・レビン民主党上院議員: 競争入札無しでブッシュ政権がハリバートン社など一定の企業に発注したことについて調査。(ハリバートン社に関する過去のエントリーは、こちらとこちら。)
上院予算算出委員会、ロバート・バード民主党上院議員: 始めから対イラク戦争に反対していたので、ブッシュ政権からの緊急軍事出費要求に対し、厳しい態度をとると予想される。
下院外交委員会、トム・ラントス民主党下院議員: イランおよび北朝鮮との対話をブッシュ政権に要求。
下院歳入委員会、チャールズ・ランゲル民主党下院議員: 貿易協定における、環境保護と労働者の権利の保護の基準を設置。
下院政府改革委員会、ヘンリー・ワックスマン民主党下院議員: ハリバートン社のイラクでの任務、そして石油会社の利益について調査。
おまけ
ジョン・ボルトン国連大使は解雇、ということになりそうだ。
資料:
Democrats Set for Top Congress Roles, BBC News, November 10, 2006
Bush's Power to Shape Judiciary Over, Bloomberg, November 14, 2006
今回の選挙は面白い結果をもたらした。
まず、民主党が連邦議会の上・下院を共に制し、1月から両院において晴れて「与党」となることになった。
民主党が下院を制したということは、特に意義深い。なぜなら、下院議長は大統領後継者2番目に位置するパワフルな役職なのである。つまり、大統領が就任期間中に死亡した、もしくは弾劾された場合、副大統領が大統領に就任するが、もし副大統領も死亡してしまったり弾劾されてしまった場合は、次に大統領に就任するのが、下院議長なのである。1月、下院議長には、民主党の現院内総務であるナンシー・ぺロシ下院議員が収まる。アメリカの政治界でNO.3の座に、初めて女性が就くこととなったのだ。ぺロシ議員は、アメリカで最も権力のある女性となる。
ぺロシ議員はサンフランシスコの選出議員であることから、民主党議員の中でも結構先進的な考えを持っている。アメリカの政治界NO.1(ブッシュ大統領)とNO.2(チェイニー副大統領)が極右派で、いきなりNO.3がサンフランシスコを代表する先進的な女性、という図式は面白い。とはいえ、ぺロシ議員よりもリベラルな民主党議員はいるし、彼女はどちらかというと「うまい政治家」であり、融通を利かすタイプである。それにしても、南部や中部の州から選出された民主党議員の中には、中道派も沢山おり、彼らに不満を与えないように党下院の方針をうまく仕切っていかなければならないぺロシ議員の責務は大変なものになるだろう。
さて、各州の知事選においても、民主党の知事が共和党の知事よりも多くなった。最も民主党寄りのカリフォルニア州が共和党のシュワルツェネガー知事を維持したのは皮肉だが、彼の場合は、早い時期からブッシュ大統領と距離を置き、環境問題に取り組むなど「違ったタイプの共和党政治家」へのイメージ転換を図ったのが功を奏したといえる。
選挙の間接的結果として、ラムズフェルド国防長官が強制的に辞任させられることとなった。(イギリス人である知人によれば、ヨーロッパ中が歓喜しているそうだ。ヨーロッパ諸国の人々は、ラムズフェルド国防長官を、ブッシュ大統領と同等もしくはそれ以上に嫌っていたようである。国防長官が対イラク戦争の「顔」であったからであろうが、それと共に、同戦争に反対したフランス、ドイツ、ベルギーなどに頭に来た国防長官が、「古臭いヨーロッパ諸国」と呼んで馬鹿にしたこともヨーロッパ人の神経を逆撫でしたのかもしれない。)
選挙が近付いているので、各党関係の人達は、自党の立候補者に票を投じるよう必死に有権者に電話や書状で懇願している。我が家にはクリントン元大統領からも電話があった。(もちろん生の本人ではなく、録音された声だが。)これはカリフォルニア州の石油依存を減らすことを目的とした法案(Prop 87)に、賛成票を投じるよう促す為の電話であった。Prop 87は、州内における石油産出高に対して石油会社に課税し、その税から得た収入を他のクリーンなエネルギー開発(風力エネルギー、太陽エネルギーその他)の資金に回すというもの。なぜクリントン元大統領自らこの法案に賛成票を投じて欲しいと訴えているかというと。
大手石油会社らが、もちろんのことProp 87に猛反対しており、色々な汚い方法で州民にこの法案に反対票を投じるよう仕向けているのである。まず、Prop 87が法律になると、州民は高い税金を払わせられて苦労する、などといったCMを頻繁に流している。これは真っ赤な嘘だ。Prop 87には、石油会社が新たに課された税額分を消費者に払わせることを禁止する条項も含まれているからだ。
また石油産業は、「民主党有権者の為の投票ガイド(Voter Information Guide for Democrats)」なるものを作成し、州内の民主党有権者達に送り付けた。この「投票ガイド」は、あたかも民主党本部によって作成されたかのように見せかけられており、民主党有権者達に、Prop 87に反対票を投じるよう促している。
だから、クリントン元大統領のお出ましというわけだ。元々彼とゴア元副大統領は、Prop 87を支持するCMにも出演しているのだが、今回この偽の「投票ガイド」がもたらした誤解を解く為に、彼のメッセージを州内の民主党有権者一人一人に伝える必要があったのだった。
石油産業の妨害に負けず、Prop 87は果たして法律になり得るか。
昨夜HBOで「Hacking Democracy(民主主義のハッキング)」という電子投票機や票を数える電子計数機についてのドキュメンタリーを観た。(トレイラーはこちら。)事態は想像していたよりもっと深刻だ。
まず、テクノロジー専門家達によれば、Diebold社の電子投票機に使用されているソフトウェアは全く安全ではない。プログラミング・コードに詳しい人なら誰でもハッキングし、選挙結果を変えられる。証拠を残さずにだ。しかしDiebold社は、電子投票機の安全性を改善する努力をするよりも、その危険性についてしらを切るか嘘をつくのみである。
更に恐ろしいのは、前にも書いたが、Diebold社が共和党の絶大なる支持者であるということだ。
とある選挙法専門の弁護士によれば、2004年の大統領選においてニュー・メキシコ州では、電子投票機を使用した郡は全て、ケリー民主党連邦上院議員よりもブッシュ大統領へ の票の方が多いという結果を出した。いかに民主党寄りの郡においてもだ。(同弁護士は、この事実をケリー議員自身から聞いたという。彼は、このようなことを知っておきながら何もしなかったケリー議員は信じられない、といった感じで話していた。)
このドキュメンタリーの中心となっているのが、アメリカの選挙の行方を心配し、電子投票機/電子計数機の危険性を世間に広めようと活動する一般市民達だ。彼らが、Diebold社から出されたごみをあさってみた所、同社の会計報告書が見つかった。それには、Diebold社が共和党のある組織から金を領収していることが記録されていた。なぜ電子投票機メーカーが、一政党から金を受け取るのか?
全く背筋も凍る程の恐ろしさだ。
日本社会における女性の役割や地位、そして女性が直面している問題などについて、日本でビジネスをされていらっしゃる(またはすることになっている)アメリカ人の方々を対象に、1日講義することになりました。なるべく最近起こった新鮮な話題を取り混ぜて講義しようと思っております。つきましては、当ブログを訪れて下さる方々にお願いがあります。もし
- 「こういう女性差別問題が最近日本で話題になった。」、「女性と男性の社会的役割に関してこういう統計が最近出ていた。」のようなニュースや情報;
- 「こういった女性への待遇は以前から問題だが、まだ改善されていない。」、「社会のこのような慣習は女性差別だと思う。」のようなご意見;
- 「出産してから以前のような責任のある仕事をさせてもらえなくなった。」、「私の会社は女性社員と男性社員を平等に扱っている。」のようなご自身の体験話
などがおありでしたら、是非とも教えてくださいませ。講義で紹介させていただきます。konakijiji-at-gmail.com (-at-を@に替えて)まで。どうぞ宜しくお願い致します!
ニュージャージー州最高裁判所が、結婚を男女間に限らせている州の婚姻法は、州の憲法違反であると判決を下した。現存の婚姻法では、同性カップルの婚姻が認められていないが為に、夫婦に付与されるあらゆる法的権利(自分の医療保険に被保険者として配偶者を加入させる、病院で重体の配偶者に付き添う、などの権利)が同性カップルには与えられない。よってこの婚姻法は、州憲法の「平等な法の保護を州民全てに保障する」条項に違反しているという判決だ。
しかし州最高裁は、同性結婚を認めよ、とまでは言わず、夫婦と同じ権利を同性カップルに与える法的枠組みを作るよう、州議会に命令した。つまり、同性カップルに夫婦と平等な権利を保障さえすれば、その法的枠組みが、同性結婚の認可であろうと、シビル・ユニオンやドメスティック・パートナーのような制度の新設であろうと、それは州議会の判断に委ねる。ということだ。これは、ネブラスカ州憲法の同性結婚禁止改正条項は合衆国憲法違反であるとした連邦地裁の判決に似ている。
New Jersey Court Backs Rights for Same-Sex Couples, New York Times, October 25, 2006