昨年末の選挙で、対イラク戦争を終結させてほしいと願う有権者から与党に選ばれた民主党。ところが多数の民主党連邦議員達は、有権者から託された任務を遂行するどころか、すっかり有権者を裏切って、対イラク戦争への追加資金をブッシュ大統領の要求通りに承認し、戦争終結については全く触れない法案を共和党と共に可決しようとしている。(下院では既に可決され、上院でも近日中に採決が行われる予定。)
この同僚たちの態度に不快感を顕にした民主党連邦議員達は数人いる。上院議員の中では、既にパトリック・レイヒ議員、クリス・ドッド議員、ジョン・ケリー議員、バーニー・サンダース議員、そしてラス・ファインゴールド議員が、上記の法案に反対票を投じる、と声明を出した。(サンダース議員は民主党ではなく無所属。)
特にファインゴールド議員は、上記法案を批判するだけではなく、「戦争を終結させるために闘い抜く。」と断言した。ブッシュ大統領や共和党だけではなく、自分の党の同僚達をも相手にしなければならないのだから、大変な闘いになるだろう。ファインゴールド議員は、有権者から託された任務を忠実に遂行してくれている。有権者は、ファインゴールド議員をしっかりと支えてあげるべきだろう。
世界フェアトレード・デーですよ!
3月から4月に掛けて、義父の他界、体調不良、足骨の脱臼などで、友人と会ったり、イベントや社交の為に外出するということがほとんど無かった。
「もうそろそろ外に出るが良い。」と先日友人に引っ張られていったのが、ジャーナリストのジェレミー・スケイヒル氏の講演だった。友人はもともと1人でスケイヒル氏の講演に行くつもりだったのだが、講演が行われる場所から5分ほどの所にたまたま私が住んでいるので、ついでに私を拾いに来たのだった。とはいえ、私もスケイヒル氏の講演には興味を持っていたし、まだ足の脱臼は治っておらず、運転は元より満足に歩くことも出来ないので、友人が来てくれて助かった。
私だけではない。大勢のサンディエゴの住民が、スケイヒル氏の講演を待ちわびていた。彼は、ブラックウォーターUSAについて話すことになっていたからだ。ブラックウォーターUSAとは何か、といえば:
対イラク戦争は、歴史上最も「民営化された戦争」だ。つまり、以前は米軍がやっていた仕事を、今は連邦政府に委託された企業がやっている。例えば、戦地に兵舎を建てたり、兵士達に食事を供給したり、郵便物を届けたり、といったことは、本来米軍自身がやっていたことだが、今はハリバートン社の子会社であるKBRがやっている。
戦争における民営化は、ロジスティック面だけに止まらない。戦闘自体も民営化されているのだ。ここでブラックウォーターUSAのお出ましというわけだ。ブラック ウォーターUSAは、いわば傭兵派遣会社である。連邦政府からの発注により、兵器を始めとする戦術トレーニングを受けたタフな人材を、傭兵として対イラ ク戦争に送る会社なのだ。つまり彼らは、連邦政府ご用達の殺し屋たちだ。
ところで、こうした対イラク戦争の民営化は、同戦争が高くついている理由でもある。企業はこれでもかというくらい膨大な金額の請求書を連邦政府に送りつけるから、納税者に莫大な負担が掛かっている。つまり企業は、対イラク戦争という商品に至上最高の値を付けて売っているのである。これらの企業の経営者はみなブッシュ政権と密接な関わりがある人物だ。つまり、戦争民営化は、ブッシュ政権のお友達をがっぽり儲けさせるために起こっているようなものである。
さて、ブラックウォーターUSAは、現在ノースカロライナ州に傭兵トレーニング・センターを設けているが、この度カリフォルニア州サンディエ ゴ郡南東部の街、ポトレロにもトレーニング・センターを建設したいと公表した。これに多くのサンディエゴ住民が反対している。理由は、環境への悪影響や騒音の懸念、戦争利益を経営方針にしているブラックウォーターへの嫌悪感、また、殺し屋トレーニングセンターなど近くにあってほしくない、といったもの。彼らがジェレミー・スケイヒル氏の講演に集まったのは、スケイヒル氏が、ブラックウォー ターについて調査し、他の誰よりもこの会社についてよく知っているからだった。住民は、スケイヒル氏からブラックウォーターの情報を得、ブラックウォーターがサンディエゴ郡にやってくることを阻止する決意をお互いに確認しあった。
以下は、ジェレミー・スケイヒル氏から学んだ情報:
- ブラックウォーターは、共和党の有力政治家たちと繋がりの濃い元米軍高官や元CIA高官によって経営されている。その人脈を使って、連邦政府からの発注をものにしている。
- 現在2000人あまりのブラックウォーター傭兵がイラクにいる。
- イラクに派遣されたブラックウォーター傭兵1人当たりの「月給」は、約3万ドル(300万円以上)で、米軍兵士の「年給」額に相当する。もちろん傭兵の給料を払っているのは、アメリカの納税者だ。
- ブラックウォーターの恐ろしい所は、法の外側で活動しているということである。ブラックウォーター傭兵は、軍人ではないので、軍法や軍の規則やジュネーブ国際条約には縛られない(と本人たちは主張しているし、みんなそう思っているようだ。)一方、連邦政府から委託されて戦地で仕事している企業は、その仕事に携わっている間にとったいかなる行動についても、イラク当局から起訴されない、と保証されている。つまり、ブラックウォーター傭兵たちは、善良なイラク市民をお遊びで殺害しようが、虐待しようが、自由なのである。実際、アブ・グレイブ収容所でのイラク人捕虜の拷問・虐待にも、ブラックウォーター傭兵が関わっていたと見られている。もちろん米軍にも、イラク市民を虐待/レイプ/無差別殺害した兵士は沢山いると見られるし、米軍はその事実を隠し、兵士も罰せられないままということはよくあるだろう。しかし、国際社会や国内の人権擁護団体、またはジャーナリストたちがそういった情報を得て騒ぎ立て始めると、一応罪を犯した兵士は軍法会議に掛けられ、処罰される。しかし、ブラックウォーター傭兵は、そのような心配もなく、イラクでやりたい放題やれる。彼らがイラクのどこで何をやっているか、誰も監視していない。彼らは野放し状態なのである。
- 最近、民主党が主権を握る連邦議会が、「ブッシュ大統領の望むように対イラク戦争に引き続き金を出してやるが、その条件として2008年3月までに軍をイラクから撤退させるように」と定めた法案を可決した。民主党議員たちは、この法案を「平和のための法案」として国民に宣伝していた。ところが、ブッシュ大統領が「軍撤退条件」に反対して拒否権を行使し、法案に署名しなかったので、法律にならなかった。しかし、例え法律になっていたとしても、これは「平和のための法案」でもなんでもない。まず、「ブッシュ大統領の望み通り引き続き金を出してやる」ということは、「ブラックウォーターやKBRを含めたブッシュ政権ごひいきの企業の欲を、納税者を犠牲にして引き続き満足させてやる」ということである。また、「2008年3月までに軍をイラクから撤退」させても、ブラックウォーターなどから派遣された傭兵はイラクに残ることが許され、戦争をそのまま続けることができる法案となっていた。(もしそのようなことになれば、「完全民営戦争」だ。)
- ただ、ブラックウォーター傭兵はブラックウォーター社の契約社員であるから、傭兵やその家族が、契約違反または契約不履行で会社を訴えることが今後多々あるだろうと予想される。現に、ファルージャで殺された4人のブラックウォーター傭兵の遺族は、ブラックウォーター社を訴えた。
果たしてサンディエゴ郡住民は、ブラックウォーターのトレーニングセンター建設プランを阻止できるだろうか?
ブラックウォーターUSAについては、まずこのビデオをご参照のこと。英語が分からない方も、どんなものかなんとなく分かっていただけると思う。これはドキュメンタリー映画"Iraq for Sale"から抜粋されたもの。
そして、ジェレミー・スケイヒル氏がブラックウォーターUSAについて書いた記事: ロサンゼルス・タイムズ紙
スケイヒル氏のインタビュー: NPR
ブラックウォーターUSAがサンディエゴ郡にトレーニング・センターを建設するプラン、及び住民の反対について: サンディエゴ・ユニオン・トリビューン紙
ブラックウォーターUSAのプランに反対する社説: サンディエゴ・ユニオン・トリビューン紙
住民のプロテストの模様を報じたサンディエゴのニュース番組のビデオ: KUSI
