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ニューヨークで、イスラエルを応援するユダヤ系アメリカ人のデモンストレーション(日曜日)と、イスラエル攻撃に反対するユダヤ系アメリカ人のデモンストレーション(月曜日)が行われた。
最初は、イスラエル応援デモ。
冒頭でしゃべっている政治家2人は、チャック・シューマー連邦上院議員(民主党)と、デイヴィッド・パターソン知事(ニューヨーク州、民主党)。
そして、一般人のデモ参加者のインタビュー。「あいつら(ハマス?パレスティナ人?)を一掃させるためには、学校も爆破しなきゃね!」と叫ぶ恐ろしい女性たちもいる。
続いては、イスラエル攻撃反対デモ。
冒頭でインタビューに答えているのは、モサドのエージェントの苦悩を描いた「ミュニック」などでお馴染みの、映画・舞台脚本家のトニー・クシュナー氏。
そして一般人のデモ参加者たち。「イスラエル支持者が、ユダヤ系アメリカ人全ての声を代表しているわけではないわ。」と話す女性もいる。
アメリカの政治家達は、共和党であっても民主党であっても、イスラエルの政策を批判することはできない。イスラエルがどれ程パレスティナ人の人命や人権を陵辱しようが、レバノンを勝手に攻撃しようが、アメリカの政治家達は、ただただイスラエルのやっていることを「全面的に支持する」と繰り返すだけだ。
イスラエルを批判しようものなら、彼らの政治生命が絶たれてしまうからだ。それもこれも、リクード党と密接な関わりを持つロビー団体「アメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)」のせいである。同団体は、アメリカの政治家、メディア、そしてあらゆるセクターにおける有力者や著名人が、イスラエルの政策(厳密にはリクード党政策・右派政策)を支持するよう、少なくとも批判しないよう、莫大な資金と強大な影響力を行使して活動しているのである。
大統領選候補者の3人も、AIPACからロビーされ、または同団体の報復を恐れ、イスラエルの強硬政策を正当化する態度を示している。先日カーター元大統領が、イスラエル-パレスティナ間の平和構築のためにハマスのリーダーと会談したい、と発表した。ハマスは事実上パレスティナの与党なのだから、彼らを無視し続けていてはイスラエル-パレスティナ間の状況に何の進展も生まれない、と考える外交・中東情勢専門家は多く、カーター元大統領もその1人であった。(ちなみにカーター元大統領は、AIPACには全く恐れを感じていないらしく、イスラエルのパレスティナに対する政策を公に批判し続けている。)
マッケイン議員もクリントン議員も即座にカーター元大統領を非難した。「ハマスのようなテロリストと、アメリカは話をすべきではない。」と言うのだ。この2人の反応は、予想されたものだった。しかし、少し遅れてオバマ議員も同様の反応を示した時、私はがっかりした。と共に、イスラエル・ロビーの強さを改めて思い知らされた。従来の政治家達とはあらゆる面で違うオバマ議員も、イスラエル・ロビーには他の政治家達と同様、平伏してしまわなければならないのだった。大統領は変わっても、AIPACがいる限り、アメリカの歪んだ中東政策はいつまでも続くのだ、と認識した。
ところが今日、このようなニュースを目にした。なんと、AIPACに対抗する、平和主義のユダヤ系ロビー団体が誕生した、というのである。「J Street」というこの団体は、イスラエルとパレスティナの平和的共存と中東の平和構築をポリシーとして掲げ、このポリシーを支持するよう政治家達をロビーする。
もちろん今の段階では、J StreetはAIPACとは比べ物にならないほど小さなロビー団体であるが、早くAIPACを凌ぐほどの大きさになってもらいたいものである。想像してみていただきたい:アメリカの政治家がAIPACの報復を恐れずにイスラエル-パレスティナ問題について発言し、そして問題に取り組む。メディアはAIPACの報復を恐れずに中東情勢を報道する。大学教授はAIPACの報復を恐れずに中東情勢を教える。
そんな日が早く訪れてほしいものである。
J Streetを応援されたい方は、寄付することができる。
「戦争とマスコミ」 (田中宇氏)
イ
スラエルが対レバノン攻撃を開始してからしばらくの間、アメリカの偏った報道に恐ろしささえ感じていた私は、ロンドンにいる友人にメールで、イスラエル攻
撃に関するイギリスのメディアの報道と世論の反応について尋ねた。友人が「イギリスのメディアはバランスのとれた報道をしているし、世論もレバノンの一般
市民にとても同情的だ。パブに行くと、客はみなこの話題について話しているが、ほとんどみなイスラエルを批判している。」と返事を送ってきた時、胸をなで
おろしたものだ。そうか、偏った報道をしているのはアメリカだけなのだな、と。
「こちらでは、政府や政治家達は、イスラエルのしているこ とを『正当な自衛行為』と呼んでいる。」と言うと、友人は、図らずも当たっていると思えることを言った。「イスラエルのしていることが桁外れの攻撃である ということは、米政府も政治家達も十分承知しているが、彼らの歪んだ対中東政策が、自らを、イスラエルを擁護しなければならない立場に追い込んでいるんだ ろう。もちろん強大なイスラエル系ロビーの影響や、国内のユダヤ系有権者の支持欲しさ、というのも要因だろうけれどもね。」