13 posts tagged “州司法”
息子が自家製気球に乗って空中に飛んでいってしまったと偽りの通報をして、米国内のみならず世界を騒がせたコロラド州のリチャード・ヒーニーさんと妻のマユミ・ヒーニーさん。当初、2人とも重罪の判決を受けると予想されていたが、マユミさんが軽罪である偽報罪を犯し、ヒーニーさんが重罪の公務員妨害罪を犯したと、それぞれ認知することで片がついた。これは夫妻(の弁護士)と検察官の間で行われた司法取引の結果。もし法廷に持ち込まれてマユミさんが重罪判決を受けた場合、日本に強制送還されることになるので、それを防ぐ為に軽罪にしておいてやるから、今自ら罪を認知しなさい、でも旦那は重罪で認知しなさい、というものだ。
今回のクリストファー・サボイさんとノリコ・サボイさんの事件の真相は、私には全く分からないので、この事件に言及せずに一般論として一言。
日本ではまだ「妻が子を連れて家を出る」というのは当たり前のように思われているふしがある。これはたぶん、子供を育てるのは妻の責任、という意識が依然として根強く社会に残っているからだろう。しかし、日本以外の先進諸国では、夫も妻も子供に対し同様の義務と権利を有するから、妻が勝手に子供を連れて引越ししたりすると、夫から子供を奪ったとし、拉致とみなされ、犯罪を犯したことになる。(もちろん夫が同様のことをした場合も、妻から子供を奪ったとして、犯罪を犯したことになる。) これは、離婚が成立した後も同じこと。元妻・元夫共に、相手の許可を得ずに子供を連れて行方をくらますと、拉致事件が成立する。
海外に住む多くの日本人女性にとって、離婚はショッキングなものであろうが、だからといってさっさと子供を連れて日本に帰国してしまえるものではないのだ。もし離婚後、日本に永久帰国したいのであれば、裁判所を通して、子供の養育権、面会権に関し、(元)夫との間でちゃんとシロクロつけてから、日本に帰らなければならない。つい最近、ニュージャージー州で離婚した日本人女性が日本に永久帰国することを前提に、元夫と法廷にて養育権を争った。裁判所はこの日本人女性に養育権を与え、彼女が子供を日本に連れて帰ることを許可した。もちろんこの場合は、元夫よりもこの日本人女性の方が子供により良い環境を与えてあげられることができる、と裁判所が判断したからであり、それでも年に幾度かは子供が元夫と一定の時間を過ごせるようにこの日本人女性が配慮する、ということが条件であった。他のケースにおいて、裁判所が同様の判決を下すとは限らない。しかしいずれにせよ、子供を連れて日本に永久帰国したい人は、ちゃんとこのように司法ステップを踏まなければならない。
カリフォルニア州最高裁判所は、アメリカの州最高裁判所の中で、他州の裁判所に判例として使用される判決の数が最も多い、と読んだことがある。それはなぜかといえば、やはりカリフォルニア州最高裁の取り上げるケースの内容とそれに対する判決が、この国の時代の最先端を行っているからだろう。他州の裁判所は、始めはカリフォルニア州最高裁の判決におののいたり、それを拒絶したりするものの、結局はその判決をお手本とするようになる、というわけである。
今回の同性結婚合法化の判決は、マサチューセッツ州最高裁に先を抜かれたが、アメリカにおいて輝かしき2番目の州最高裁判決を誇る。今の所、カリフォルニア州最高裁の判決を受けて同性婚合法化を考慮しているのはニューヨーク州(こちらは知事及び法務長官といった行政機関が考慮しているようだが)のみである。目下、同性結婚には目を背ける州の方が多いのが現実だ。しかしあと数年もすれば、マサチューセッツ州・カリフォルニア州をお手本として、各州に同性結婚合法化が広がるのではないだろうか。保守的な州ではかたくなに同性結婚を禁止するだろうが、同性結婚を認める州が多くなるにつれて、それに引き摺られる感じで連邦最高裁判所が、同性結婚の禁止は合衆国憲法違反であるとする判決を下すこととなるだろう。
実は、アメリカの先端を切り、カリフォルニア州最高裁が異人種間の結婚を合法化させる判決を下したのは1948年。それから20年近く経った1967年、連邦最高裁が、異人種間の結婚の禁止は合衆国憲法違反であると判決を下した。この判決により、アメリカ全州で異人種間結婚が合法化された。
(そう、1967年まで、アメリカの多くの州では、自分以外の人種の人と結婚すれば犯罪者になっていたわけである。ちなみに、この1967年の連邦最高裁の判決で勝訴を勝ち取ったミルドレッド・ラビングさんは、つい1ヶ月ほど前に、69歳で亡くなったばかりだ。ミルドレッドさんはアフリカ系アメリカ人、旦那様のリチャード・ラビングさんは白人。当時のバージニア州では異人種間結婚は重罪であった。2人は訴訟を起こし、連邦最高裁において、結婚する権利を勝ち取ったのだった。)
たぶん、同性結婚も異人種間結婚と似たような運命を辿るだろう。ただ、同性結婚の場合は、カリフォルニア州最高裁の判決から20年も経たないうちに、連邦最高裁が合法化判決を下すのではないだろうか。
5月15日、ついにカリフォルニア州最高裁判所が、同性結婚合法化を求めて訴訟を起こしていたサンフランシスコ市及びゲイ・レズビアンのカップル達に勝訴を言い渡した。結婚を男女間に限らせている現行のカリフォルニア州婚姻法は、州憲法の「州民全てが法の平等な保護を受ける権利を保障する条項」に違反していると判決を下したのだ。(この訴訟については、1、2、3 をご参照のこと。)
カリフォルニア州はかなり以前から、男女のカップルには婚姻制度、そして同性カップルにはドメスティック・パートナー(家庭を担うパートナー)制度、をそれぞれ設けている。ドメスティック・パートナー制度の下、この手続きを踏んだ同性カップルには、カリフォルニア州内においては夫婦と同様の法的権利が与えられてきた。(詳しくはこちらをご参照のこと。)
しかし今回の判決において、州最高裁のロナルド・ジョージ裁判長は、いくらドメスティック・パートナーである同性カップルが夫婦と同じ法的権利を与えられたとしても、その関係を「結婚」と呼ばせてくれない限り、その同性カップルは夫婦と同様の威厳を持つことはできない、と述べ、ドメスティック・パートナー制度の不公平さを指摘した。
この判決により、6月中旬から、カリフォルニア州では同性婚が成立することになる。
写真: 判決のニュースを聞いて微笑むサンフランシスコのギャビン・ニューサム市長 と、判決を祝うサンフランシスコのゲイ、レズビアンの人々。
Supreme Court Overturns Gay Marriage Ban
Los Angeles Times, May 16, 2008
サンディエゴ市の共和党市長、ジェリー・サンダース氏が、同性結婚の合法化を支持する決意を発表した!
共和党市長がこのようなことをするとはあまりに意外なので、全国ニュースになった。どうも、市長の娘さんがレズビアンで、彼女と話し合った結果、市長はこの結論に至ったのだそうだ。記者会見でこの決意を発表した時、市長は泣いていた。今まで共和党政治家として反ゲイ・レズビアンの立場をとってきた市長が、娘さんによってやっと目を開かれた、ということだろう。
実は、サンフランシスコ市が同性結婚の合法化を求めてカリフォルニア州を訴えた訴訟が、近日中に州最高裁判所に到達することになっている。州最高裁の審理に向けて、ロサンゼルス市を始めとする数多くの市が、サンフランシスコ市を支持する、つまり同性結婚合法化を支持する意見書を州最高裁に提出した。
ゲイ・レズビアンの人口が多いサンディエゴ市においても、同性結婚合法化支持の意見書を州最高裁に提出する決議案を、市議会が可決した。
サンダース市長は、拒否権を行使してこの決議を阻止すると主張した。しかし翌日になって、市長は意見を180度変え、この決議を支持すると発表したわけだ。
市内の共和党有権者達は結構頭に来ているようだが、沢山の市民がサンダース市長を賞賛している。
SD Mayor Supports Suit for Gay Marriage, Los Angeles Times, September 20, 2007
ニュージャージー州最高裁判所が、結婚を男女間に限らせている州の婚姻法は、州の憲法違反であると判決を下した。現存の婚姻法では、同性カップルの婚姻が認められていないが為に、夫婦に付与されるあらゆる法的権利(自分の医療保険に被保険者として配偶者を加入させる、病院で重体の配偶者に付き添う、などの権利)が同性カップルには与えられない。よってこの婚姻法は、州憲法の「平等な法の保護を州民全てに保障する」条項に違反しているという判決だ。
しかし州最高裁は、同性結婚を認めよ、とまでは言わず、夫婦と同じ権利を同性カップルに与える法的枠組みを作るよう、州議会に命令した。つまり、同性カップルに夫婦と平等な権利を保障さえすれば、その法的枠組みが、同性結婚の認可であろうと、シビル・ユニオンやドメスティック・パートナーのような制度の新設であろうと、それは州議会の判断に委ねる。ということだ。これは、ネブラスカ州憲法の同性結婚禁止改正条項は合衆国憲法違反であるとした連邦地裁の判決に似ている。
New Jersey Court Backs Rights for Same-Sex Couples, New York Times, October 25, 2006
以前ニューヨーク州の下級裁判所が、同性間の結婚を禁じた州法は州憲法違反であると判決を下したことを書いたが、昨日カリフォルニア州の下級裁判所も同様の判決を下した。同性結婚合法化に反対する団体は上告するつもりだが、まずはゲイ・レズビアンの人々と、彼らの権利を守る為に戦っているサンフランシスコのギャビン・ニューサム市長の勝利だ。
カリフォルニア州の婚姻法も、他州の婚姻法と同じように「結婚は男女間に存在する契約」であると定めている。同性カップル達とニューサム市長が、この婚姻法を無効にしてもらうべく訴訟を起こしたのだ。
クレイマー裁判官は、自分の選んだ相手と結婚する権利は、州民全てが持つ基本的権利であると断言。この権利を同性カップルから奪う婚姻法は、州憲法の「法の平等な保護を州民に保障する条項」に違反していると判決を下した。
被告のカリフォルニア州及び同性結婚合法化反対派は、結婚を男女間に限らせる婚姻法を施行することにより、州は結婚の伝統を維持しているのだ、と主張した。しかし裁判官はこの主張を却下。「1948年、異人種間の結婚を禁止した婚姻法を正当化する為に州が使った言い訳も、『結婚の伝統を守る為』だった。」と述べた。(異人種間結婚を禁じた婚姻法は、違憲であるとして、1948年に州最高裁から無効にされた。)
同性結婚反対派はまた、婚姻法は子供を作るという結婚本来の目的を保持する役目も果たしている、とも主張。クレイマー裁判官はこの理論も退けた。「人は子供を作る為に結婚するのではない。」
この同性結婚を巡る戦いは州最高裁までもつれこむだろう。成り行きを見守っていきたい。
Court Invalidates California's Same-Sex Marriage Ban
San Francisco Chronicle, Mar. 14, 2005
コロラド州最高裁判所が、殺人犯の死刑判決を覆した。この死刑判決は、陪審員達が聖書に頼った結果出した結論であることが発覚したからだ。
数年前、殺人を犯した男性が裁判に掛けられた時、この男性に死刑を与えるべきかどうかを審議中だった陪審員達は、聖書に決断の導きを求めた。そして、聖書の「目には目を。歯には歯を。」という一節を読んだ後、陪審員達は死刑判決を下した。
裁判中に提示された証拠及び法律以外のものを考慮に入れて決断を下さないよう厳しく指示されていたのにも関わらず、だ。
州最高裁は、陪審員達のとった行動が不適切として、彼らの下した死刑判決を無効にしたのであった。
State Justices Overturn Killer's Death Sentence
Rocky Mountain News, Mar. 29, 2005
Man Can Sue for Distress over Surprise Pregnancy, But Sperm Hers to Keep
Associated Press, Feb. 24, 2005
以 前交際していた女性が、男性に知らせずに彼の精子を使って妊娠していたことに関し、イリノイ州の上級裁判所は、「男性は精神的苦痛を与えられたとして女性 を訴えることができる」と判決を下した。しかし、「精子を盗み取った、として彼女を訴えることはできない。一旦彼女に届いた精子は彼女のものだからだ。」
原 告リチャード・フィリップスさんと被告シャロン・アイアンズさんは二人とも医者である。6年前、二人は交際をしていた。ある日、二人がオーラル・セックス を行った後、アイアンズさんはフィリップスさんに内緒で彼の精子を保管した。そしてその精子を使って妊娠した。フィリップスさんがそのことを知ったのは、 それから2年後。子供の認知を求めてアイアンズさんに訴えられた時だ。DNA鑑定でフィリップスさんが子供の父親であることが証明された。彼は養育費 800ドルを毎月アイアンズさんに支払うように裁判所から命令された。
フィリップスさんは、窃盗及び詐欺(彼の精子を騙し取ったこと)、そして彼に精神的苦痛を与えたこと、を理由にアイアンズさんに対し訴訟を起こした。下級裁判所はフィリップスさんの訴えを退け、彼は上告。
上 級裁判所は、確かにアイアンズさんの行為は欺瞞的だったと認めた。「普通の人間なら、オーラルセックスが妊娠という結果をもたらすとは予想だにしない。そ のオーラルセックスを行って得た精子を使い妊娠するのは、通常では考えられないやり方であり、(フィリップスさんにとって)大変な状況を生み出した。」 よって、精神的苦痛を与えられたとする彼の訴えはそのまま続行されるべき、と判決を下したのだ。
しかし同裁判所も、窃盗と詐欺に関しては フィリップス氏の訴えを退けた。アイアンズさんは、フィリップスさんの精子を騙し取ったのではない、とする下級裁判所の判決に同意したのだ。「(オーラル セックスにより)精子が女性に届いた時、その精子の所有権利は贈与者(男性)から受贈者(女性)に譲渡されたのである。その精子を後で男性に返却するなど という契約を、両者間で交わした わけでもない。よってその精子は女性への完全な贈与品とみなされる。」