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国際人権擁護団体 Human Rights First が作成した、故エドワード・ケネディ連邦上院議員の功労を称えるビデオ。ケネディ議員は、世界中において弱い立場にある人々の人権を守るために働き続けた。
エドワード・ケネディ連邦上院議員が亡くなった。
非常に、非常に悲しい。
オバマ政権になって、確かにブッシュ政権時よりはましな政策が行われているが、根本的な問題は全く解決されそうに無い。根本的な問題とは、大企業の利益優先の政策によって国民の権利や福祉が犠牲にされることだ。ウォール・ストリートの金融機関に納税者の金がつぎ込まれているのもその一例だ。そして、医療保険システムもそう。
保険料が高すぎて医療保険を持てない人々の数は上昇する一方だし、医療保険を持っていても、保険会社に頻繁に一方的に治療費の支払いを拒否される状況下で、国民健康保険制度の導入を求める国民の声は日増しに大きくなっていた。彼らは、オバマ政権が誕生し、民主党が連邦議会の過半数を占めれば、それがやっと実現される、と希望を抱いていた。
ところが2日ほど前、連邦上院議会の予算委員会(民主党のボーカス上院議員が委員長)が、医療ケア改革について聴聞会を開いた時、意見を聞くために聴聞会に招待したのは保険業界の代表者たちのみであった。国民健康保険制度を求める人々は、聴聞会からシャットアウトされた。
国民健康保険制度を求めるグループの代表者である医者や看護婦や活動家たちは、もちろん怒った。彼らは委員会に忍び込んだ。そして、「なぜ国民健康保険を求める人々はこの聴聞会に招待されていないのか!」とボーカス議員(委員長)に向かって口々に抗議した。ボーカス議員は彼らを逮捕させた。
民主党が政権を執ろうと、連邦議会を牛耳ろうと、医療保険に関する状況は何も変わらないのであった。
下は、その時のビデオ。
デンバーで民主党の全国大会が開催されている。バラク・オバマ連邦上院議員を正式に党の大統領候補に指名し、党の結束を固めるのが大会の目的だ。数々の政治家達がスピーチを行うメイン・イベントと平行して、党の有力者たちと企業のロビイスト達が交わるパーティーも派手に繰り広げられている。(来週開催される共和党全国大会も、これを凌ぐほどの贅沢な一大イベントとなることは間違いない。)
アメリカでは今、景気が悪く、失業者が増え、貧困層が広がっていっている。「本当に民主党が、自分達がいつも言っているように人々のために戦う党ならば、こんなことに莫大な金を費やすより、貧困に陥っている人々の救済に金を費やしたらどうなんだ。」と友人が言っているのを耳にした。確かに党全国大会は、偽善主義を象徴しているかのようだ。
しかし、「偽善的」な全国大会も、悪いことばかりではない。民主党議員の中には、(大企業のロビイストに魂を売り渡していない)素晴らしい議員も、少数ではあるが存在していて、全国大会は彼らのスピーチが聞けるチャンスでもある。今日エドワード・ケネディ連邦上院議員が全国大会のステージ上に現れ、スピーチを行ったことは、非常に感動的であった。
ケネディ議員は、ジョン・F・ケネディ元大統領の末の弟。民主党連邦議員の中でも最も筋の通った議員の1人で、一般市民、特に弱い立場にある人々を守る法案を作り続けてきた。最近では、反移民主義が台頭している中で、移民の権利を守る為の法案を作り、通そうとしたことが記憶に新しい。また、声を大にしてイラク戦争への反対を叫び続けた。そんなケネディ議員は、民主党支持者やプログレッシブ/リベラル派から非常に敬愛されている。
3ヶ月ほど前、ケネディ議員が脳腫瘍を患っていることが発覚した。長時間に亘る摘出手術は成功したというが、ケネディ議員が大病を患ったというニュースは、議員を愛する人々にショックを与えた。(私もショックを受けた1人だ。手術後ケネディ議員にお見舞いのメールを送ったところ、2週間後議員から「ありがとう」とお礼のメールが届いた。もちろんケネディ議員は、数多くの支持者からお見舞いメールを受け取ったはずで、議員自らが一人一人に返事を書いたとは思えない。しかし、例え本人の直筆ではなくとも、ちゃんと返信してくれたその心使いに私は大変感謝した。)
6月に、共和党が高齢者への医療プランをカットする法案を提出し、この法案が可決されるかもしれない瀬戸際にあった時、ケネディ議員は、手術後間もなく療養中であるというのに、わざわざ反対の一票を投じるために議会に現れた。お陰で高齢者医療プランはカットされずに済んだのである。
そして今日、医者や家族が「デンバーに飛んで、何万人もの聴衆を前にスピーチを行う体力など無いのでは」、と心配していたにも関わらず、ケネディ議員はステージ上にしっかり立ち、力強いスピーチを行った。「来年1月連邦議会に戻ってくる」と約束し、「オバマ大統領と協力して、国民全てが医療保険でカバーされるよう仕事を進めて行く。治療を受ける権利は市民全ての基本的権利であり、裕福な者の特権であってはならないのだ」と、まるで、まだまだ引退するわけにはいかないのだ、と自分自身に言い聞かせているかのように言った。
しかし、スピーチを聴いた多くの人々が、この全国大会がケネディ議員のスピーチが聴ける最後の機会となるかもしれないこと、そして、ケネディ議員自身それを知っていること、を感じ取ったに違いない。会場にいた聴衆の中には、涙を流している人が沢山いた。
これがケネディ議員の最後の公的スピーチとなるならば、それは民主党内で君臨してきたケネディ家の終焉、をも意味する。ケネディ家出身者には社会的に活躍している人が今も多いが、民主党内で影響力を誇っているといえば、やはりケネディ議員が最後であろう。
長年に亘って一般市民の為に戦い続け、有権者から愛された素晴らしい連邦上院議員が、連邦上院議員としての役目に終止符を打つ日が近づいている。それに従って、1つの時代が幕を閉じようとしている。
電話の相手もしくはメール送信相手が外国にいるというだけで、裁判所の令状無しでその市民の電話を盗聴し、メールを盗み読みする権限を行政機関に与える法案を、先日連邦議会が可決した。この法案はもう既に法律になっている。
アメリカで最も素晴らしい国際ジャーナリストの1人であるクリス・ヘッジス氏は、この法律が彼の仕事に与える悪影響をロサンゼルス・タイムズ紙に綴っている。情報提供を求めて外国にいる人物によく連絡を取るヘッジス氏は、政府の盗聴の標的となる可能性が高い。彼が、米戦艦とイラン軍船の追跡劇について調査するため情報提供を依頼したイラン人は、ヘッジス氏の電話が米政府に盗聴されていることを恐れて、協力を断ってきた。ヘッジス氏がいくら戦争や紛争における真実を調査報道しようとしても、情報提供者の協力無しでは仕事を進めることは不可能だ。
つまりこの法律は、市民のプライバシー及び政府から不当な捜査を受けない市民の権利を侵害しているだけではなく、報道の自由をも侵害しているというわけである。
それだけではない。国際人権擁護家や、グァンタナモ湾捕虜の弁護を担当している弁護士なども、ちゃんと任務が果たせなくなる。米政府の盗聴を恐れたクライアントとの腹を割ったコミュニケーションが難しくなるからだ。
しかも、電話の相手もしくはメール送信相手が外国にいることが政府による盗聴の前提になってはいるものの、アメリカ内にいる者同士の間で交わされる会話やメールは政府に傍受されていない、とは断言できないのである。そのようなこと市民には分かる術が無いのだから。だから、政府に盗聴されることを恐れて、政府内の腐敗や汚職、または政府プロパガンダの裏に隠された真実、などをジャーナリストに暴露してくれる政府職員もめっきり減るだろう。
つまり、実際に政府が盗聴しているかどうかは関係ない。「自分が政府に盗聴されているのではないか。」「自分が話している相手が政府盗聴のターゲットとなっているのではないか。」という恐れを人々に抱かせることによって、この新しい法律は、アメリカ社会を部分的に麻痺させてしまう、ということである。
米国市民自由権連合は早速、この法律は違憲であるとして無効にしてもらうべく訴訟を起こした。クリス・ヘッジス氏は、他のジャーナリスト、国際人権擁護家、弁護士たちと共に、この訴訟に原告として加わっている。
2005年暮れ、ブッシュ政権がNSA(国家安全保障局)に、裁判所の令状も無しに勝手に米国市民の電話の盗聴や電子メールの盗み読みなどを行わせていたことが発覚し、アメリカ中が大騒ぎとなった。
この事件において、誰が違法行為を行ったのかをまとめると、次のようになる。
1. ブッシュ政権が連邦法違反の行為を行った。裁判所の令状なしに政府が上記のようなことを行うのは連邦法によって禁止されている。
2. AT&Tなどの大手電話会社/インターネット・サービス・プロバイダーが連邦法違反の行為を行った。裁判所の令状無しに、客の通話やデータ通信を第三者(それが政府であっても)にアクセスさせることは連邦法によって禁止されている。
3. ブッシュ政権が違憲行為を行った。合衆国憲法は、政府による不当な捜索や押収を受けない権利、プライバシーの権利を市民に保障している。
この事件発覚後、アメリカ中で、自分の電信通話またはメールを傍受されたと感じた人々が、ブッシュ政権及びAT&Tなどの大手電話会社/インターネット・サービス・プロバイダーを訴えた。ブッシュ政権のやっていたことは違憲である、と判決を下した連邦地域裁判所もある。
ところが、ところが。ブッシュ政権からプレッシャーを受け、大手電話会社のロビイストから多額の献金を渡され、本日、民主党率いる連邦議会は、これらの行為を合法にする法案を可決してしまった!
しかもこの「合法化」は、将来だけではなく、過去にもへりくだって適応されるため、ブッシュ政権及び電話会社が今までにやったことは合法とみなされ、現在アメリカ中で存在するブッシュ政権及び電話会社に対する約40の訴訟は、全て棄却されることになるのだ。
そして行政機関は、通話相手またはメール送信相手が外国にいるというだけで、米国市民の電話とメールを、誰からも文句を言われず自由に傍受できるのである。
この法案がどれほどひどいかは、ジョージ・ワシントン大学法律学校のジョナサン・ターリー教授のインタビューをご覧になっていただきたい。
市民のプライバシーの権利、政府から不当な干渉を受けない権利を侵害するこの法案の可決を共和党議員たちと共に押した民主党議員達は、世論からの批判を逃れるために、色々な言い訳をしている。一番笑えるのは、このような膨大な権限を行政機関に与えておいて、「でもこの法案は、この権限を行政機関が濫用しないようにチェックするメカニズムを、行政機関内に設置する、とまで定めているから大丈夫だ。」という言い訳だ。
ブッシュ政権の者がブッシュ政権の権限濫用をチェックする。.....さぞかし厳しくチェックすることだろう。
大体、行政機関の権限濫用のチェックは、立法機関(連邦議会)と司法機関(裁判所)が行うものではないのか?ああ、涙が出そうだ。
この法案通過を最後まで阻止しようと、引き延ばし工作を行ったり、反対する市民と一致団結して他の議員達を説得したり、とありとあらゆる方法を用いて戦ってくれた民主党のラス・ファインゴールド上院議員、クリス・ドッド上院議員、パトリック・レイヒ上院議員は、市民から感謝されるべきだ。(私はファインゴールド議員にお礼のメールを送った。ファインゴールド議員は私にとってヒーローなのだ。)
ただ、この法案を巡る戦いは終わってはいない。
エレクトロニック・フロンティア・ファウンデーションや米国市民自由権連合などの市民自由権擁護グループは、この法案が法律になり次第、この法律の合憲性を問う訴訟を起こすと既に宣言している。
また、この法案に反対した市民達は、この法案に賛成票を投じた議員を辱める、または次回の選挙で敗北させる目的でグループを結成している。このグループは既に30万ドル(約3千万円)の寄付金を集めている。
こちらでお分かりいただける通り、バラク・オバマ上院議員はこの法案に賛成票を投じている。(AyeはYesの意味。)
1980年代に共和党のレーガン大統領がアメリカに浸透させて以来、ずっとアメリカの政治と経済の基盤となってきた保守主義。この保守主義の理念に従い、アメリカは、「小さい政府」のスローガンを掲げ、政府機関の民営化、社会保障システムの縮小化、そして企業に対する規制緩和、規制取り払いをどんどん進行させてきた。
(余談だが、私は「privatization」を「民営化」と訳すことに非常に抵抗がある。「民営化」という言葉には、いかにも民衆が経営の実権を握っているような、ポジティブな感じを受けるからだ。アメリカにおける政府機関のprivatizationは、政府高官たちと深くつながりのある一握りの大企業が、民衆の思惑とは全く関係ない所で、企業利益のみを追求して経営するので、「民営化」よりは、「私営化」の方が、しっくりいく感じがする。でも、「政府機関の私営化」というのは日本語としてはなんだか変なので、「民営化」を使っている。)
この保守主義は、民主党のクリントン大統領下でもとどまることなく進んできた。いくら行政府は民主党が実権を握っていても、立法府(連邦議会)は上・下院共に共和党が主権を握っていたからだ。それに、実はクリントン大統領自身、民主党をもっと保守化させようと頑張った張本人でもある。連邦準備制度理事会の前理事長のアラン・グリーンスパン氏は、「クリントン大統領は、素晴らしい共和党大統領だ」と言ったくらいだ。
ところが今、アメリカの国民の間で、保守主義がついに衰退の兆候を見せている。3月12日に発表されたグリーンバーグ・リサーチによる「保守主義の退廃」と題された調査結果によると、大多数の国民が、レーガン政権以降初めて、国民の福祉を守ることが政府の役割であり、政府機関が行っていた業務を企業に任せることは国民のためにならず、企業に対する規制は消費者や従業員/労働者の福祉を守るために必要不可欠であると認識し始めたようである。そしてついに、国民の大半が、政府のプログラムとして国民健康保険システムの導入を望んでいる。
この国民の間における保守主義の衰退は、彼らが、今アメリカに存在する数多くの問題は、保守主義が生み出した弊害であるということに気付き始めたということを示している。山積みされた弊害のほんの一例としては、電力を故意に出し惜しみし、電気代を吊り上げ、消費者を苦しめたエンロン社(電力に関する規制取り払いが原因)、2005年にルイジアナ州を襲ったハリケーン・カトリーナ(ハリバートン社やブラックウォーター社、そして軍需企業に国民の税金を使い込む政府は、自然災害に備えて国の防災設備を整える資金も意思もなかった)、そして最近ではサブ・プライム・ローンから生じた経済破綻(金融機関に対する不十分な規制が元々の原因)がある。
もちろん、例え国民が保守主義の弊害に気付き始めたといっても、共和党であれ、民主党であれ、大企業と深いつながりにある政治家達が保守主義を捨てることはまずまだないだろう。例えば、いくら国民が国民健康保険システムを望んでいても、それを公約する者など、3人いる大統領選立候補者の中には誰もいない。保険業界から多額の献金を受け取っている民主党の候補者ヒラリー・クリントン連邦上院議員は、公約として医療システム改善プランを掲げているが、それは保険会社の保険を国民に買わせるプランであり、「絶対に政府は保険提供に介入しない」とまで言い切っている。保険業界に対する規制なしで保険を強制的に買わせられる国民は、たまったものではない。保険会社が、保険料を上げ放題上げ、支払い対象とする治療の範囲を狭めるだけ狭めるであろうことは、目に見えているからだ。同じく民主党候補者のバラク・オバマ連邦上院議員は、この点を指してクリントン議員のプランを非難しているが、彼自身も、政府による国民健康保険を実現したい、とまでは言ったことがない。共和党の候補者ジョン・マッケイン連邦上院議員などは、医療保険問題は丸無視している。
つまり、政界における保守主義は当分の間生き残るだろう。というより、大企業が政治家に対して力を持っている限り、消え去ることはないだろう。しかし、国民が今保守主義から目覚め始めているということは、今後政府に対して社会保障を充実させ、企業に対し規制を課し、国民の福祉・安全を守るよう求める声が、日増しに高くなっていく、ということだ。
希望が持てそうだ。
以下は、「保守主義の退廃」リポート結果から抜粋:
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下の意見に賛成の場合はYES、反対の場合は、NO:
自身の面倒をみれない国民の面倒をみるのは、政府の役割である。
YES 69% NO 28%
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下の意見に賛成の場合はYES、反対の場合は、NO:
企業は、自身の利益と国民の安全(または権利、福祉)のバランスがとれるように経営している。
YES 38% NO 58%
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どちらの意見に賛成?
A 政府による規制は、消費者の安全及び環境を保護する。
B 政府は、国民が購入する銃や車について、または他のことについても、規制を課すべきではない。
A 50% B 46%
(AがBを上回ったのは、2003年に同質問の答えに関して統計が取られ始めてから、これが初めてである。)
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どちらの意見に賛成?
A カナダのように、政府による国民医療保険システムを導入すべきだ。
B 医療システムは、政府の介入なしで、少しずつ改善することができる。
A 52% B 44%
2005年暮れ辺りから、移民制度改革法案について連邦議会が議論を進めてきたが、結局法案を通すことはできなかった。不法滞在者に、罰金を課した後、行く行くは正当な移民となる法的手段を与えたい民主党と、不法滞在者を重犯罪者として永久に国外追放したい共和党の意図が一致しなかったのである。
連邦議会と平行して、各地の地方政府レベル(市レベル)でも移民問題について議論が行われていた。市によって、移民問題に対する態度は違っている。
「連邦政府(国土安全省-移民局)による不法滞在者取り締まりに、市は一切協力しない。」と宣言したカリフォルニア州のサンフランシスコ市やロサンゼルス市のように、不法滞在者を含めた移民全般に好意的であることをアピールする都市もあった。
また、先ごろ全国の主な都市の市長が集まって開いた全国市長会議では、移民はアメリカに貢献しているので、移民を圧迫・制限するような政策でなく、移民の権利を尊重した政策を執るべきである、というような決議が採択されている。(ちなみにこの市長会議では、対イラク戦争の終結を促す決議も採択されている。市長会議の決議は、ブッシュ政権、連邦議会、そして大統領選立候補者達それぞれに提出された。)
一方、不法滞在者を何とか撲滅したいとして、「反不法滞在者」条例を制定した市も沢山あった。ペンシルバニア州のヘイゼルトン市が制定した、家主が不法滞在者に住居を賃貸することを禁止する条例はその代表例であった。
ところがこのヘイゼルトン市の条例は違憲である、と、先日、ペンシルバニア州の連邦地域裁判所が判決を下した。大まかな理由は次の通りである。(1)移民に関することは連邦法の管轄である。この条例は連邦法の管轄を侵しており、連邦法が州・地方政府の法律より優位に立つと定める合衆国憲法の条項に違反している。また、(2)合法滞在者も不法滞在者も、公正に法の手続きを受けることを合衆国憲法により保障されている。ところがこの条例は、告知と聴聞の権利を不法滞在者であると疑われた者に十分に与えていないことから、違憲である。
ところで、カリフォルニア州サンディエゴ郡のエスコンディード市では、昨年市議会がヘイゼルトン市のものとそっくりの条例を可決した。条例は施行されないまま現在に至っているが、エスコンディード市議員たちは、施行を実現したいと願っている。ところが、連邦司法機関と州立法機関という大きな邪魔者が待ち受けており、前途多難だ。
- まず連邦地裁。エスコンディード市が条例を施行しようものなら、間違いなく条例の合憲性を問う訴訟が起こるであろうが、ペンシルバニア州の連邦地裁の判決と歩調を合わせて、南カリフォルニアの連邦地裁も違憲判決を下すであろう。
- そして連邦控訴裁。仮に、万が一、連邦地裁が合憲判決を下したとしても、アメリカの連邦控訴裁の中で最もリベラルであると知られる第9巡回裁判所(西海岸の州及びハワイ州のケースを担当)がそれを覆す判決を下すだろう。
- 更に、カリフォルニア州議会。州議会はちょうど今、ある州法案を可決しようとしている。その州法案とは、入居者がアメリカに合法滞在していることを家主に一々確認させるような条例を地方政府が制定することを禁じるもの。実はこの州法案は、エスコンディード市議会が上記条例を可決したことを受けて作られたもので、いわば州議会のエスコンディード市に対する「お叱り」であった。
Judge Voids Ordinance on Illegal Immigrants, New York Times, July 27, 2007
Escondido Council Divided over Hazelton Ruling's Effect, North County Times, July 26, 2007
昨年末の選挙で、対イラク戦争を終結させてほしいと願う有権者から与党に選ばれた民主党。ところが多数の民主党連邦議員達は、有権者から託された任務を遂行するどころか、すっかり有権者を裏切って、対イラク戦争への追加資金をブッシュ大統領の要求通りに承認し、戦争終結については全く触れない法案を共和党と共に可決しようとしている。(下院では既に可決され、上院でも近日中に採決が行われる予定。)
この同僚たちの態度に不快感を顕にした民主党連邦議員達は数人いる。上院議員の中では、既にパトリック・レイヒ議員、クリス・ドッド議員、ジョン・ケリー議員、バーニー・サンダース議員、そしてラス・ファインゴールド議員が、上記の法案に反対票を投じる、と声明を出した。(サンダース議員は民主党ではなく無所属。)
特にファインゴールド議員は、上記法案を批判するだけではなく、「戦争を終結させるために闘い抜く。」と断言した。ブッシュ大統領や共和党だけではなく、自分の党の同僚達をも相手にしなければならないのだから、大変な闘いになるだろう。ファインゴールド議員は、有権者から託された任務を忠実に遂行してくれている。有権者は、ファインゴールド議員をしっかりと支えてあげるべきだろう。
